東洋大学 海野ゼミ・サンプル図書リスト【2023年版】

情報学、メディアコミュニケーション学、社会学

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● What’s New ●
2023/7/25, 8/12-26最近の図書を追加。
2023/5/232023年春版として公開。
2022/7/27, 8/3最近の図書と「2022年夏のお薦め」追加。
2022/4/20,23最近の図書を十数点追加および修正。
2021/7/26, 8/2, 8/11「2021年夏のお薦め」等追加。
2021/4/17, 20最近の図書を十数点追加。
2021/4/7一部修正・追加。
2020/7/23, 8/13, 9/7, 11/3「2020年夏のお薦め」追加等。
2020/4/12, 6/04, 7/17一部修正・追加。
2020/4/082020年春版として公開。
2019/7/23「2019年夏のお薦め」に2点追加。
2019/5/15一部修正。
2019/4/222019年春版として公開。
2018/8/13, 14音楽、ネット犯罪、著作権等の図書を5点追加。
2018/8/10「2018年夏のお薦め」に2点追加。
2018/7/24, 252018年夏版として追加・入替。
2001/7/22新規に公開しました。
目 次
ゼミ個人課題と提出期限
サンプル図書リスト
読む本に迷ったときのお薦め
本の選び方・探し方

ゼミ個人課題と提出期限

◆海野ゼミ(1〜3年)では、夏季休暇中の個人課題として「千頁読破」(せんぺえじどくは)を行っています。また、海野1年ゼミ(基礎ゼミ)は、春学期の個人課題として「専門書読破」を行っています。

◆なぜ (図書、書籍)を読むのかと言うと、初学者がまとまりのある知(体系的な知識)を獲得するには本が一番だから(本しかないから)です。ネット、新聞・雑誌、音声・映像では、まとまりのある知の習得は困難です。

◆{情報学、メディアコミュニケーション学、社会学}に関連するなるべく専門的な図書を、新たに合計1000ポイント以上読み、その(1)目次、(2)要約または紹介、(3)感想・意見・コメントを所定の形式でレポートに作成して提出して下さい。(レポートの詳しい内容、形式は、授業時の配付プリントをよく読んで下さい。)

◆【ページ/ポイントの換算】原則として1ページ=1ポイントです。ただし、1ページあたりのポイントを、専門的な学術書は2倍、洋書は10倍に増やし、小説・エッセイは1/2に減らします(小数点以下は切り上げ)。以下の表を参照して下さい。1000ページは、単行書ならばおよそ3冊、新書判ならばおよそ4〜5冊です。

図書のタイプ1ページあたり
一般的な教養書1 ポイント
ビジネス書1 ポイント
ドキュメンタリー・ノンフィクション1 ポイント
入門的な学術書1 ポイント
専門的な学術書2 ポイント
洋書(原書)10 ポイント
小説・エッセイ0.5 ポイント

◆どのような図書がそれぞれのタイプに該当するかは、下記の「サンプル図書リスト」を参考にして下さい。(およそ内容の難易度に応じて、岩波新書、中公新書、講談社現代新書、NHKブックスのようなシリーズのレベルを「入門的な学術書」=1ページ1ポイントとしています。)

◆書誌事項(書誌データ)の書き方は 『海野・戸田ゼミ 書誌事項の記載規則』を参照すること(ゼミで配付)。

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サンプル図書リスト

◆以下は{情報学、メディアコミュニケーション学、社会学}をテーマとする本を、あくまで例示的に(サンプルとして)並べたリストです。 20年以上にわたり、少しずつ更新し、入れ替えをしてきて、約300タイトルを並べてあります。 ただし、必ずしもここにあげた本からのみ選んで読んでほしいというわけではありません。 分野ごとに紹介点数に偏りがあったり、特定の著者の本が偏って多くあげられていたりします。 これら以外に、内容に優れた本、読む値打ちのある本はいくらでもあります。 (このリストを眺めて、教員が皆さんにどんな本を読んでほしいと思っているかを推測してください。)
 したがって、これが必ずしも理想的な推薦図書リストではないこと、網羅性のないサンプルであることに注意して、リストを参考にして、読みたい本を自分で探してください。

◆気が向いたときに、海野が推薦する本に マークをつけます。その場合、推薦マークは半年ぐらいごとにつけかえる予定です。

◆刊行年が比較的新しい(およそ2年以内の)本に マークをつけました。

◆このリストはかなりおおざっぱで、ゆるく作っています。配列順は「何となく新しい順、思いついた順」であり、正確な刊行年順にも著者名順にもなっていません。価格も税抜きと税込みが混ざっていて不統一です。リンク先のページがなくなっている場合や、データの誤りがあるかもしれません。あらかじめご了承下さい。m(_ _)m

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サンプル図書リストの目次

  1. ネットワーク社会・情報化社会を全体的に考えるための本
  2. ネットワーク社会・情報化社会をさまざまな視点から考えるための本
  3. アート/エンターテインメント系メディアを考えるための本
  4. 社会学/情報学/メディア論を学ぶための入門書・専門書
  5. ネットワーク社会・情報化社会を考えるための小説(フィクション)
  6. 読む本に迷ったときのお薦め

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凡 例

●著編者名(訳者名)『書名:副書名』
  出版社, 出版年.月. 総頁数p. ¥価格(シリーズ名
海野の一言コメント。
目次の抜粋や、宣伝文の引用の場合もあり。 引用部分は「 」で括った。

*総ページ数が は1ページあたりのポイントが2倍のもの、 1/2のものです。
*価格は、記載時の税抜き価格。
シリーズ名とは、多数の図書が連続して出版される場合、そのグループ全体に共通する名前のこと。
例:「中公新書」「講談社文庫」「NHKブックス」「岩波講座 インターネット」

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1. ネットワーク社会・情報化社会を全体的に考えるための本

*著者の専門分野により、1.2社会学者、1.3情報学者・哲学者、1.4その他に分けてみましたが、あくまで便宜的な分類です。

1.1 人工知能(AI)・情報通信技術のもたらすもの

*このカテゴリは、最新動向と近未来予測を踏まえた新刊書が次々と刊行されています。ネットや書店で自分で探してみましょう。新書判がねらい目です。

★小林雅一 『生成AI:「ChatGPT」を支える技術はどのようにビジネスを変え、人間の創造性を揺るがすのか?』
  ダイヤモンド社, 2023.7. 359p. ¥1980(税込)
生成AIの出現とその技術基盤、実用化に伴うフェイクの氾濫などについて、具体的な事例を取り上げて丁寧に解説している。著者は「生成AIは史上最速にして最大の革命を人類にもたらす」と確信している。
★清水亮 『教養としての生成AI』
  幻冬舎,2023.7. 248p. ¥1034(税込)(幻冬舎新書)
生成AIの原理、応用事例の紹介、今後の発展の動向を解説。AIの仕組みについての解説は、噛み砕いていてわかりやすい。
●笹原和俊 『ディープフェイクの衝撃:AI技術がもたらす破壊と創造』
  PHP研究所,2023.2.251p. ¥1100(税込)(PHP新書)
著名人の顔を使った偽のポルノ画像・映像で注目を浴びたディープフェイク。 政治家のスピーチなども偽造されSNSで拡散されて選挙に影響を与えたり、 災害時に偽の被害映像で人々を混乱させたり。 本書はディープフェイクの仕組み、様々な事例、対策、課題を論じ、 ディープフェイクにどのように向き合うべきかが示されている。
●野村総合研究所データサイエンスラボ 『データサイエンティスト入門』
  日本経済新聞出版,2021.12.221p. ¥990(税込)(日経文庫)
ビッグデータ、そしてそれを活用する技術としてデータサイエンスに注目が集まっているが、 本書はこの新しい領域に生まれた職業、「データサイエンティスト」について解説。 ここでの「サイエンティスト」は科学者ではなく、企業や政府機関菜とでビッグデータを 活用する実務的な専門家、専門職のこと。本書では、現代社会におけるデータ サイエンティストの必要性、データサイエンティストに求められる能力、仕事内容、 今後の展望などが論じられている。
●野口悠紀雄 『データエコノミー入門:激変するマネー、銀行、企業』
  PHP研究所,2021.10.251p. ¥1089(税込)(PHP新書)
前半はビッグデータの特性、現状、利用規制などの概説、後半はビッグデータの 中でも「お金」に関するビッグデータが今後企業活動や金融業をどのように 変えていくかを解説。「データ資本主義」の仕組みを理解するのに適している。
●川添愛 『ヒトの言葉 機械の言葉:「人工知能と話す」以前の言語学』
  KADOKAWA, 2020.11. 256p. ¥990(角川新書)
コンピュータは言葉をどのように扱っているのか、人間は言葉をどのように扱っているのか、人間とコンピュータの言葉の扱い方にはどのような違いがあるのかを解説しており、人工知能の限界を理解する知見を与えてくれる。
★尾原和啓 『ネットビジネス進化論:何が「成功」をもたらすのか』
  NHK出版,2020.6.416p. 2200円+税
検索サービス、電子商取引、SNS、シェアリングエコノミー、暗号化資産等々、様々なネットビジネスを「小分けにしたものを遠くにつなげる」ビジネスとという観点でタイプ分けし、それを進化構造として提示し、さらに今後の展開を予測している。多数の企業がこの構造に具体的に位置付けられて説明されており、その特徴を把握することができる。
●朝日新聞「シンギュラリティーにっぽん」取材班 『テクノロジーの未来が腹落ちする25のヒント』
  朝日新聞出版,2020.5.239p. 810円+税(朝日新書)
ネットとAIが高度に発達普及することにより、政治、金融、雇用、医療、プライバシーなど、現代社会の様々領域で大きな変革が起こりつつある。本書は、朝日新聞が1年間にわたり、これらの事情を内外に取材した大型連載企画をもとに加筆修正したもので、技術と社会のかかわりを考える素材を提示している。
●田中道昭 『2025年のデジタル資本主義:「データの時代」から「プライバシーの時代」へ』
  NHK出版,2020.5.269p. 900円+税(NHK出版新書)
ビッグデータ、AIで米中がしのぎを削り、GAFAやBATHが世界規模で影響力を行使する状況が生まれる中、ヨーロッパでは個人情報保護を重視する政策が強調され、それが米国や日本へも影響を与えるようになった。プライバシーを重視した新しい情報社会の可能性を経営学的視点から論じている。
●小林雅一 『「スパコン富岳」後の日本;科学技術立国は復活できるか』
  中央公論新社,2021.3.224p.924円(中公新書ラクレ)
世界一に輝いた国産スーパーコンピュータ「富岳」は新型コロナ対応で注目の的だが、「電子立国・日本」は復活するのか。莫大な国費投入に見合う成果を出せるのか。開発責任者や最前線の研究者(創薬、がんゲノム医療、宇宙など)、注目AI企業などに取材をし、米中ハイテク覇権競争下における日本の戦略や、スパコンをしのぐ量子コンピュータ開発のゆくえを展望している。
●小林雅一 『仕事の未来:「ジョブ・オートメーション」の罠と「ギグ・エコノミー」の現実』
  講談社,2020.4.272p.900円+税(講談社現代新書)
イノベーション、グローバル化等により産業構造の変化が進み、近年、雇用制度や働き方が大きく変わりつつある。その実態と問題点を、自動運転車やロボット、医療AIが導入された領域を対象に、現状と今後の動向を論じている。
●小林雅一 『5Gの衝撃』
  宝島社,2020.1.223p.1300円+税
スマホの進化だけでなく、遠隔医療、自動運転車、産業用ロボット、ドローン等の実用化、普及に大きな影響を及ぼす最新モバイル通信規格「5G」の技術特性、米中技術覇権争い、応用可能性とビジネス、プライバシー・セキュリティ等の社会問題など、5Gにかかわる様々なテーマを解説した入門書。
★森川博之 『5G:次世代移動通信規格の可能性』
  岩波書店,2020.4.249p.860円+税(岩波新書)
日本でもサービスが始まったモバイル通信の新しい規格である5Gの技術を丁寧に解説し、産業や社会への影響、可能性を解説。モバイル技術のこれまでの歴史や企業や国同士での競争の実態も紹介している。
●ジェフリー・ケイン 『AI監獄ウイグル』
  新潮社,2022.1.333p. 2420円
新疆ウイグル自治区における中国政府による対ウイグル人政策の実態を多数の亡命者へのインタビューと現地取材で明らかにしたノンフィクション。
★梶谷懐・高口康太 『幸福な監視国家・中国』
  NHK出版, 2019.8. 254p. 850円+税(NHK出版新書)
政府・大企業が全国民の個人情報・行動記録を手中に収め、AI・アルゴリズムによって国民を統治する中国。しかし、中国国民のテクノロジーへの信頼は高く、不満は少数派だと言う。おそらく日本も同じ方向へ向かっているので、明日の日本社会を考えるための好著。
●NHK取材班 『AI vs.民主主義: 高度化する世論操作の深層』
  NHK出版,2020.2.231p.850円+税(NHK新書)
フェイクニュースが氾濫し世論操作が巧妙化していること、選挙活動に海外から介入される危険があること、GAFAを中心とした巨大プラットフォームによる個人情報独占の危険性など、民主主義を脅かす現代情報化社会の脆さが見えてくる。米国大統領選挙で、トランプ陣営と契約したイギリスのデータ分析会社がFacebookのデータを不正取得して個人情報を解析して宣伝活動を行った経緯を詳細に解説。
●日本経済新聞データエコノミー取材班編 『データの世紀』
  日本経済新聞出版社,2019.11.254p.1500円+税
2019年度新聞協会賞[編集部門]受賞。リクナビ事件(学生の内定辞退率の予測データ)、プラットフォーマー規制、デジタル課税、一般データ保護規則(GDPR)、ターゲティング広告、ディープフェイク、フェイクレビュー、AI格付け、バーチャルスラムなど幅広く取材。
★新井紀子 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』
  東洋経済新報社,2018.2. 287p. ¥1500
人工知能に何ができて、何ができないのか。「教科書が読めない」とはどういうことなのか。2万5000人を対象にした読解力調査のデータ分析はとても興味深い。
●竹村彰通 『データサイエンス入門』
  岩波書店,2018.4.166p.800円+税(岩波新書)
文系学部でも学ぶことが必須となりつつある「データサイエンス」について、その意義と概要を解説している。
★田中潤・松本健太郎 『誤解だらけの人工知能:ディープラーニングの限界と可能性』
  光文社,2018.2. 258p. ¥778(光文社新書)
人工知能の研究とビジネスの最先端にいる著者が、人工知能の本質と将来性を平易に解説しているこれからの可能性は、10年後、20年後、30年後と分け、豊富な具体例で説明しており、社会がどのように変わっていくのかわかりやすい。
★小林雅一 『AIが人間を殺す日:車、医療、兵器に組み込まれる人工知能の衝撃』
  集英社,2017.7. 240p. ¥821(集英社新書)
「飛躍的な進化を遂げる人工知能(AI)。明るい未来が語られる一方で、「二〇四五年問題」などのAI脅威論も少なくない。しかし著者はむしろ、目前に迫る危機として、車、医療、兵器の三つを挙げる。」(宣伝文より)
★松尾 豊 『人工知能は人間を超えるか : ディープラーニングの先にあるもの』
  KADOKAWA,2015.3. 263p. ¥1400(角川EPUB選書)
「グーグルやフェイスブックが開発にしのぎを削る人工知能。日本トップクラスの研究者の一人である著者が、最新技術「ディープラーニング」とこれまでの知的格闘を解きほぐし、知能とは何か、人間とは何かを問い直す。」(宣伝文より)
●竹内 薫 『量子コンピュータが本当にすごい』
  PHP研究所,2015.6. 247p. ¥840(PHP新書)
10年後のメディア環境を考えるためには、いまコンピュータ開発の最先端で何が起こっているのかを知らなければならない。量子コンピュータ開発の最先端をわかりやすく紹介。文体は(関西弁をまじえて)非常に軟らかいが、内容は十分に深い。コンピュータの原理、量子力学の基礎、暗号解読の理論まで。
●小川晃通 『アカマイ : 知られざるインターネットの巨人』
  KADOKAWA,2014.8. 225p. ¥1500(角川EPUB選書)
「いまやネットを流れる情報の半分近くは「ハイパー・ジャイアンツ」たるグーグルと、この会社「アカマイ」が握っている。ハワイ語で「賢い」という意味を持つ多国籍企業アカマイ。公的機関から大手コンテンツ事業者まで、世界中の顧客に安全で迅速なトラフィックを約束する、この知られざる超大企業の全容が初めて明かされる、インターネットが面白くも怖ろしくもなる、衝撃の書。」(宣伝文より)

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1.2 社会学者が書いたもの

★大久保遼 『これからのメディア論』
  有斐閣, 2023.1. 358p. ¥2300+税(y-knot)
社会学者が大学生のために書いたメディア論の入門書。写真、映画、ストリーミング、音楽など、メディアごとに具体例を挙げて、社会におけるメディア環境の変容を論じている。関連する動画へのリンク集をウェブサポートとして公開している(本書のウェブサポートはここをクリック)。
★佐藤卓己ほか編 『デジタル情報社会の未来』
  岩波書店, 2016.6. 304p. ¥3400(岩波講座 現代)
10編の論文が収録されているので、興味のあるものを選んでバラで読んでもよい。 「ネットは社会をどう変えるか」、「ネットと知・文化の未来」、「ウェブ文明は我々をどこに導くか」の三部構成。
★濱野智史 『アーキテクチャの生態系:情報環境はいかに設計されてきた』
  筑摩書房,2015.7. 382p. ¥820(ちくま文庫)
「ミクシィ、2ちゃんねる、ニコニコ動画、ケータイ小説、初音ミク……。日本のウェブサービスは固有の形に進化している。他の国にはない不思議なサービスの数々は、なぜ日本独自の進化を遂げたのか。」(宣伝文より)初出はNTT出版、2008年10月。
★木村忠正『デジタルネイティブの時代:なぜメールをせずに「つぶやく」のか』
  平凡社,2012.11. 255p. ¥800+税 (平凡社新書)
文化人類学の研究手法を用いて日本人の情報行動を丁寧に分析している。後半は、日本社会の特長について、空気を読む圧力が強い、ネットへの信頼感が低い、テンションの共有のみを志向する傾向があるなどと論じていて興味深い。前半は、学術的な知識の少ない学生には読みづらいかもしれない。
★公文俊平 『情報社会のいま:あたらしい智民たちへ』
  NTT出版, 2011.5. 216p. ¥2400
目次:序章 情報社会とはなにか/第一章 社会をみるためのモデル/第二章 近代社会の大きな流れ/第三章 ソーシャル化の現在/第四章 智民たちの現在/終章 日本の情報化の現在
★橋元良明・電通総研 『ネオ・デジタルネイティブの誕生:日本独自の進化を遂げるネット世代』
  ダイヤモンド社, 2010.3. 189p. ¥1500
社会調査の結果にもとづいて、世代ごとにメディアに対する意識と行動がどのように異なっているのかを分析している。1976年ごろに生まれた世代を「PCデジタルネイティブ」、1996年ごろに生まれた世代を「ケータイネイティブ」、1996年ごろに生まれた世代を「ネオ・デジタルネイティブ」と名付けている。とても読みやすい。
●土橋臣吾・南田勝也・辻泉編著 『デジタルメディアの社会学:問題を発見し、可能性を探る』
  北樹出版, 2011.10. 223p. ¥2100
(目次より)ウェブは本当に情報の大海か、ネットは自由な空間か管理された箱庭か、ケータイは友人関係を広げたか、 ゲームでどこまで恋愛できるか、オンラインで連帯する、「つながり」で社会を動かす、ケータイで都市に関わる、 リアルタイムにウェブを生きる、メディア・リテラシーの新展開、ほか。
★鈴木謙介 『ウェブ社会のゆくえ:〈多孔化〉した現実のなかで』
  日本放送出版協会, 2013.8. 251p. ¥1000(NHKブックス)
「スマートフォンが飛躍的に普及した今日、ウェブの情報空間がリアル空間と結びつく「多孔化」は、私たちの生きる現実を大きく変容させ、社会のつながりを揺るがしつつある。」
●佐藤俊樹 『社会は情報化の夢を見る:ノイマンの夢・近代の欲望』
  河出書房新社, 2010.9. 950p. ¥1500 (河出文庫)
「情報化社会」という捉え方の問題点を検証し、「技術が社会を変える」という見方に対して、社会の動きの中に情報技術を位置付けるという視点を示している。ポイントを倍にしたが、初学者でも読みやすい。初出は講談社選書メチエ(1996.6)だが、その後の動向が補章として加えられている。
●鈴木謙介 『ウェブ社会の思想:〈遍在する私〉をどう生きるか』
  日本放送出版協会, 2007.5. 265p. ¥1070(NHKブックス)
著者は新進気鋭の社会学者。「情報化で社会はどのように変化するか」と「情報化の中を人はどのように生きていけばいいか」という二つの論点を巡って書かれている。
●鈴木謙介 『カーニヴァル化する社会』
  講談社, 2005.5. 174p. ¥700(講談社現代新書)
英国の社会学者ギデンズの「再帰的近代」という概念を手がかりに、ネットワークにおけるコミュニケーション、データベースによる監視社会などの問題を論じている。
●ドミニク・カルドン 『インターネット・デモクラシー:拡大する公共空間と代議制のゆくえ』
  トランスビュー, 2012.2. 191p. ¥1800
帯の宣伝文より。「自由と平等の概念を変え、公私の領域を組み換え、旧来のマスメディアを追いつめるウェブ。「薄暗がり」のおしゃべりは、はたして世界をどう変えるのか。」

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1.3 情報学者・哲学者が書いたもの

★西垣 通 『超デジタル世界:DX、メタバースのゆくえ』
  岩波書店, 2023.1. 193p. ¥840(岩波新書)
情報学のさまざまな知見を用いて、デジタル・ネットワーク社会に普遍的な課題を一般読者向けに解説している。「情報学基礎論B」で学ぶ内容が含まれていて、それに基づいてAIやコンピュータが論じられている。
★東 浩紀 『弱いつながり:検索ワードを探す旅』
  幻冬舎, 2014.7. 164p. ¥1300
ネットの検索と旅がテーマのやさしい文章で、さらりと読み通せるはず。言語よりも言語で語ることのできないものとの出遭いこそが必要、検索の効率よりも検索する欲望をどう喚起するかが課題という問題提起。タイトルは米国の社会学者グラノヴェッターの有名な「弱い紐帯の強み」説に基づいたもの。「はじめに」の冒頭から「ネットは階級を固定する道具です。」とあり、なかなか挑発的で楽しい。
●西垣 通 『ネット社会の「正義」とは何か : 集合知と新しい民主主義』
  KADOKAWA,2014.9. 286p. ¥1700(角川選書)
「「専門的エリート」によって独占された政治を、いかにして私たちの手に取り戻すことができるのか? ネットワーク化が進む社会における集合知の可能性を問い直し「アマチュアの知」が生きる新たな民主主義像を描く。」(宣伝文より)
●河島茂生編著 『デジタルの際:情報と物質が交わる現在地点』
  聖学院大学出版会, 2014.12. 273p. ¥2000
タイトルは「でじたるのきわ」と読む。デジタル化の進展した現代社会について考察した論文集。序章を含めて九つの章から構成されており、第1〜8章は異なる事象を異なる視点から論じた八つの論文なので、部分的に読んでもよい。
●高田明典 『ネットが社会を破壊する』
  リーダーズノート, 2013.4. 267p. ¥1400
言っていることはとても分かりやすいが、参照している理論や思想がとても幅広く、しっかり読み解くには知識が必要。「情報通信工学と現代思想という二つの分野を専門領域とする著者が、孤独の増幅、悪意の増幅、良心の汚染、知性の汚染、正義の偏向、などのキーワードのもとで、ネット社会の現状と未来に警鐘を鳴らす。」(宣伝文より)
★東 浩紀 『一般意志2.0:ルソー、フロイト、グーグル』
  講談社, 2011.11. 262p. ¥1800
全15章。宣伝文より「本書では情報技術を実装した新しい民主主義、政治の道を提示することで、日本の社会に新たな一石を投じるものなのです。」
★石田英敬 『自分と未来のつくり方:情報産業社会を生きる』
  岩波書店, 2010.6. 194p. ¥780(岩波ジュニア新書)
高校生でも読めるようにやさしく書かれているが、内容は充実している。「情報産業社会を生きる人間を考えるための、やさしいレッスン。話はエンデの『モモ』からはじまり、ヴェーバーやケインズ、プラトンやデカルト、フッサールにまで広がります。」(宣伝文より)
●長尾真・遠藤薫・吉見俊哉編 『書物と映像の未来:グーグル化する世界の知の課題とは』
  岩波書店, 2010.11. 179p. ¥1500
「グーグル・ブックス、電子書籍、ユーチューブ…。情報環境が激変するなか、学術書を含めた書籍や映画、ドキュメンタリー映像等のメディア文化財をいかに保存し、継承していくか。」「国立国会図書館長の長尾真氏、東京国立近代美術館フィルムセンター主幹/国際フィルム・アーカイブ連盟会長の岡島尚志氏、NHK放送総局ライツ・アーカイブスセンター長の大路幹生氏をはじめ、書物と映像をめぐる現場・研究を先導する論者たちの発言。」(宣伝文より)
●デビッド・ワインバーガー(柏野零訳) 『インターネットはいかに知の秩序を変えるか?:デジタルの無秩序がもつ力』
  エナジクス,2008.3. 344p. ¥2400
アメリカの哲学者によるもの。さまざまな事例を中心に、それほど専門的に書かれていないので、厚くとも読みやすい。原書は2007年刊行。
★西垣 通 『集合知とは何か:ネット時代の「知」のゆくえ』
  中央公論新社, 2013.2. 220p. ¥820+税(中公新書)
インターネットによる集合知の出現は何をもたらそうとしているのか。基礎情報学を中軸に据え知の変貌と近未来社会のすがたを展望する。
●西垣 通 『ネットとリアルのあいだ:生きるための情報学』
  筑摩書房, 2009.12. 166p. ¥760(ちくまプリマー新書)
「現代は、デジタルな情報がとびかう便利な情報社会である。にもかかわらず、精神的に疲れ、ウツな気分になるのはなぜか。悲鳴をあげているのは、リアルな「生命」そのものであろう。人間の身体と心をやさしく包んでくれるITの未来を考える。」(宣伝文より)
★西垣 通 『ウェブ社会をどう生きるか』
  岩波書店, 2007.5. 182p. ¥700(岩波新書)
梅田の『ウェブ進化論』を先に読んでおくと、いっそうわかりやすい。
●西垣 通 『IT革命:ネット社会のゆくえ』
  岩波書店, 2001.5. 189p. ¥700(岩波新書)
技術的な解説はもはや古くなったが、基本的な考え方は古びていない。 数年先の見通しから数十年先の展望まで、わかりやすくていねいに書かれている。 とりわけ第4章「オンライン共同体はできるか」はすぐれた考察。
●西垣 通 『聖なるヴァーチャル・リアリティ:情報システム社会論』
  岩波書店, 1995.12. 188p. ¥1456(21世紀問題群ブックス)
ヴァーチャル・リアリティの普及により、21世紀のサイバースペースは「偽の聖なる身体」が跋扈する「電脳魔宮」となる、という暗い予感が、説得力をもって語られている。この本が書かれた1995年には、インターネット・ブームと阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件が起きている。
●梅棹忠夫 『情報の文明学』
  中央公論新社, 1999.4. 316p. ¥648(中公文庫)
著者は文化人類学、比較文明論の大御所。「物質とエネルギーの産業化から、精神の産業化へ―。情報産業社会の到来をいち早く予告し、その無限の可能性を人類文明の巨大な視野のもとに考察した、先見性と独創性に富む名著。」(宣伝文より)

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1.4 その他の専門家が書いたもの

★笹原和俊 『フェイクニュースを科学する:拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ』
  化学同人, 2021.7. 206p. ¥990(DOJIN文庫)
人間はなぜフェイクニュースを信じてしまうのか、フェイクニュースはどのような環境で拡散しやすいのか、心理学的な事実やネットワークの特性から解明したベストセラー。文庫版、デスマス体で読みやすいが、歯ごたえのある内容。
★福田直子 『デジタル・ポピュリズム:操作される世論と民主主義』
  集英社, 2018.5. 220p. ¥740(集英社新書)
私たちの行動はビッグデータとなり、データブローカーの手で心理分析がなされ、消費行動が誘導されている。フェイクニュースや陰謀説は意図的に作られ、ボットが拡散し、疑われることなく投票行動を左右している。ロシアは欧米に対して情報かく乱を組織的に行っている。2018年春までの最新動向を踏まえて解説。
★ジェイミー・バートレット 『操られる民主主義:デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』
  草思社, 2018.9. 247p. 1600+税
第1章 新しき監視社会/第2章 「部族」化する世界/第3章 ビッグデータと大統領選/ 第4章 加速する断絶社会/第5章 独占される世界/第6章 暗号が自由を守る?/結論 ユートピアか、ディストピアか/ エピローグ 民主主義を救う20のアイデア
●岡田尊司 『ネオサピエンス:回避型人類の登場』
  文藝春秋, 2019.11. 243p. ¥1400+税
都市化や産業化の進展で家族制度の崩壊が起こり、さらにIT化で絆を忌避する人間、具体的には、セックスを回避し、人より物、物より情報を好み、ルールと統制を重視する人間に変容するという精神科医の論考。
●武邑光裕 『さよなら、インターネット:GDPRはネットとデータをどう変えるのか』
  ダイヤモンド社, 2018.6. 245p. ¥2000
「デジタル広告、ゲーム、IoT…あらゆるビジネスが変化を余儀なくされるGDPR(一般データ保護規則)のもたらす衝撃と、そこからはじまる新しい社会のかたちを探る。」(宣伝文より)
★イーライ・パリサー(井口耕二訳) 『フィルターバブル:インターネットが隠していること』
  早川書房, 2016.3. 374p. ¥972(ハヤカワ文庫NF)
米国市民政治団体MoveOn.orgの理事会長。全8章。宣伝文より「ネット社会の「福音」か、それとも最大の危機か。「フィルターバブル」問題を世に問う話題作、待望の日本語版。本書を読まずして、これからの情報社会は語れない。」原書は2011年刊行、『閉じこもるインターネット:グーグル・パーソナライズ・民主主義』の改題文庫化。東浩紀、津田大介推薦。
★ケヴィン・ケイリー(服部桂訳)『〈インターネット〉の次に来るもの:未来を決める12の法則』
  NHK出版,2016.7. 408p. ¥2000+税
「AI(人工知能)は電気のように日常を流れ、VR(ヴァーチャルリアリティ)は現在のスマートフォンのような存在となる─ベストセラー『テクニウム』でテクノロジー進化の普遍的原理を鮮やかに描き出した著者が、今後30年間の間にわれわれの未来が不可避的に向かう先を、12のキーワードから読み解く待望の書!」(宣伝文より)
★佐々木俊尚『レイヤー化する世界:テクノロジーとの共犯関係が始まる』
  NHK出版,2013.6. 278p. ¥720+税 (NHK出版新書)
「情報技術の革新は、メディアや産業の構造を根底から変え、超国籍企業を生んで労働と富のグローバル化を加速し、国ぐにの力を殺いだ。ITを基盤としたシステムそのものが権力化するなか、個人もまた、生きかたの変容を迫られている。これから来る世界はいったいどのようなものなのか。そこでわれわれはどう生きていけばいいのか。斯界の第一人者が、テクノロジーの文明史を踏まえて未来の社会像を鮮明に描き出す。」(宣伝文より)
●ジャロン・ラニアー(井口耕二訳) 『人間はガジェットではない:IT革命の変質とヒトの尊厳に関する提言』
  早川書房, 2010.12. 336p. ¥1500(ハヤカワ新書juice)
著者は「バーチャルリアリティの父」と呼ばれるコンピュータ科学者。目次「第1部 人とは何か/第2部 お金はどうなるのか?/第3部 フラットの耐えられない薄さ/第4部 ビットを最大限に活用する/第5部 未来の体液」
●ローレンス・レッシグ(山形浩生訳) 『CODE VERSION 2.0』
  翔泳社,2007.12. 552p. ¥3024
法、市場、社会規範、アーキテクチャとうい4要素による社会行為のコントロールについて述べたサイバー法の古典的著作。
●遠藤 薫 『インターネットと〈世論〉形成:間メディア的言説の連鎖と抗争』
  東京電機大学出版局, 2004.11. 351p. ¥3675
第T部 インターネット社会における〈世論〉の諸問題/ 第U部 現場からの報告/第V部「2ちゃんねる」という問題/ 第W部 インターネットと〈世論〉、そして社会変動(目次より)

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1.5 知識の歴史・インターネットの歴史

●NHK『平成ネット史(仮)』取材班 『平成ネット史 永遠のベータ版』
  幻冬舎,2021.4. 260p. ¥1870
平成がいかにインターネットと進化してきたか、堀江貴文、宇野常寛らの論客が語る。
★野口悠紀雄 『知の進化論:百科全書・グーグル・人工知能』
  朝日新聞社,2016.11. 252p. ¥780+税 (朝日新書)
世界史が好きな人向け。「情報技術の革新は、世界に何をもたらしたか? 中世以前、知識とは、特権階級の独占的所有物だった。活版印刷の登場によって万人に開放され始めたそれは、インターネットの誕生で誰にでもタダで手に入るものとなった。そして人工知能の進化が、本質的な変革の時代の到来を告げる…。秘匿から公開へ、有料から無料へ、そして人間からAIへ。」(宣伝文より)
★児玉哲彦 『人工知能は私たちを滅ぼすのか:計算機が神になる100年の物語』
  ダイヤモンド社,2016.3. 327p. ¥1600
人工知能研究の歴史と最前線をわかりやすく解説。2030年の女子大生を主人公にした短いSF小説を導入にしていて読みやすい。
●玉木俊明 『〈情報〉帝国の興亡:ソフトパワーの五〇〇年史』
  講談社, 2016.8, 213p. ¥760+税 (講談社現代新書)
世界史が好きな人向け。「17世紀オランダの活版印刷、19世紀イギリスの電信、20世紀アメリカの電話――、世界史上のヘゲモニー国家は、情報革命の果実を獲得することで、世界の中核となった。しかし、インターネットがもたらしたのは、中核なき世界だった!」(宣伝文より)
●高橋 徹 『インターネット私史:その礎を築いた友たちへ』
  インプレスR&D, 2014.11. 170p. \1800(NextPublishing)
「インターネットは21世紀の産業のエンジンである。だが、日本に「IT産業」はない。「IT利用産業」があるだけだ――この国の壁、そして通信の巨人に挑んだ経営者の壮大な夢と危機感。インテル、グーグル、Amazon……インターネットには、これからどのような可能性が秘められているのか? 日本発の技術で、世界を変えるために必要なこととは?」(宣伝文より)
●鈴木幸一 『日本インターネット書紀:この国のインターネットは、解体寸前のビルに間借りした小さな会社からはじまった』
  講談社,2015.3. 476p. \2600
「日本、アジアのインターネットの普及に尽力し、日本人で初めてインターネットの殿堂(Internet Society's Hall of Fame)に選ばれた高橋徹氏が、インターネットとの出合いからこれまでの道のりを振り返る「私的」なインターネット史です。インターネット時代の礎を共に築いた多くの人々との交流の日々や、商用インターネット市場の初期段階での葛藤、アジア太平洋地域における整備など、赤裸々に語られるエピソードの中に、その発展に人生を掛けた人々の歩み、インターネット文化の本質が語られます。」(宣伝文より)

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1.6 対談・座談会

●谷口将紀,宍戸常寿 『デジタル・デモクラシーがやってくる!:AIが私たちの社会を変えるんだったら、政治もそのままってわけにはいかないんじゃない?』
  中央公論新社,2020.3.251p.1800円+税
“インターネット、AIといったデジタルテクノロジーが社会を変えるというならば、当然政治も変わるはずである”との立場から、憲法学者(宍戸)と政治学者(谷口)が、政治コミュニケーション、政党、民主主義、世論、選挙等について、それぞれの領域の専門家6人の話を聞く鼎談集。
★梅田望夫・平野啓一郎 『ウェブ人間論』
  新潮社,2006.2. 203p. ¥680(新潮社新書)
ビジネスマンである梅田と、小説家である平野の対談集。二人の意見が共鳴しつつも微妙に食い違っているのが興味深い。ウェブ社会がもたらす変化に対して、梅田は楽観的、競争主義的で、平野はやや批判的。梅田の『ウェブ進化論』を先に読んだ方が分かりやすい。
●東 浩紀 『波状言論S改:社会学・メタゲーム・自由』
  青土社, 2005.11. 347+6p. ¥1600
著者と鈴木謙介が、宮台真司、北田暁大、大澤真幸のそれぞれと行なった3回の鼎談(3人の座談会)を収録したもの。登場する5人の著作を1点ずつでも読んでいないと理解は難しいが、議論に緊張感があり、きわめて知的刺激に富んだ内容である。
●宮台真司・神保哲生ほか 『ネット社会の未来像』
  春秋社, 2006.1. 338p. ¥1600(神保・宮台マル激トーク・オン・デマンド)
宮台真司と神保哲生の二人をホストとし、一人ずつのゲストを迎えての鼎談集。ゲストは、東浩紀、水越伸、西垣通、池田信夫。宮台のまえがき「IT化が突きつける価値選択」7ページが、簡潔な社会学的見取り図になっている。

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2. ネットワーク社会・情報化社会をさまざまな視点から考えるための本

2.1 マスメディア・ジャーナリズム

★稲増一憲 『マスメディアとは何か:「影響力」の正体』
  中央公論新社, 2022.7. 288p. ¥968(中公新書)
社会にとって、マスメディアはどのような存在なのか、マスメディアに世論を動かすほどの影響力があるのか。マスコミ研究の百年にわたる研究成果を初期から現在まで展望し、マスメディアの特徴、可能性を実証的なデータに基づいて解説している。
★NHKミャンマープロジェクト 『NHKスペシャル取材班、「デジタルハンター」になる』
  講談社, 2022.6. 256p. ¥1034 (講談社現代新書)
コロナ禍で海外取材ができない状況の中、NHK取材班がOSINT(オシント)の技法を駆使してミャンマーの軍事政権の犯罪を解明。OSINT(オープンソース・インテリジェンス)の有効性とその習得プロセスを紹介している。NHKはこの活動で、2021年度新聞協会賞を受賞。
●エリオット・ヒギンズ 『ベリングキャット:デジタルハンター、国家の嘘を暴く』
  講談社, 2022.3. 368p. ¥2090
大手メディアが驚くほどの速さと正確さで次々にスクープを飛ばし、世界中から注目される調査報道組織ベリングキャット。。シリア政府の戦争犯罪をあばき、ロシアの暗殺者の身元を特定し、ウクライナで民間機を撃墜した黒幕を突き止めた。OSINT(オープンソース・インテリジェンス)国家の嘘を次々と暴くベリングキャットの設立者がその活動を紹介。
●杉田弘毅 『国際報道を問いなおす:ウクライナ戦争とメディアの使命』
  筑摩書房, 2022.7. 268p. ¥968(ちくま新書)
日本のメディアによる国際報道の歴史(ベトナム戦争からウクライナ戦争まで)、欧米メディアとの比聴く、アメリカメディアへの依存の問題点、今後の課題を著者の記者体験を織り交ぜながら論じている。
●柳澤健 『2016年の週刊文春』
  光文社,2020.12. 525p. ¥2530
『週刊文春』の名編集長、花田紀凱と新谷学の下で記者たちがどのように取材をし記事を書き、話題を提供してきたかを描いたノンフィクション。読み物として楽しめる。著者は文藝春秋の編集者を経て作家として活動。雑誌ジャーナリズム、編集者の仕事に関心のある人にお勧め。
●毎日新聞「桜を見る会」取材班 『汚れた桜:「桜を見る会」疑惑に迫った49日』
  毎日新聞出版,2020.2. 232p. ¥1200+税
第20回早稲田ジャーナリズム大賞の公共奉仕部門大賞(2020年)を受賞した書籍。 新聞社において、どのようなきっかけで取材が始まり、どのような情報源を利用して、どのように取材を進めたかが具体的に述べられており、報道機関、新聞記者の仕事の様子を知ることができる。総理大臣主催「桜を見る会」疑惑追及について、2019年12月末までの経緯を紹介した本。
★林 香里 『メディア不信』
  岩波書店, 2017.11. 237p. ¥840+税 (岩波新書)
ドイツ、イギリス、アメリカ、日本の動向を比較して、伝統的なマスメディア(新聞、テレビ)とソーシャルメディアがどのように信じられているのか、いないのかを分析。世界のメディア界に、いま何が起きつつあるのか。
★烏賀陽弘道 『フェイクニュースの見分け方』
  新潮社, 2017.6. 255p. ¥800+税 (新潮新書)
「新聞、テレビ、雑誌、ネット、コメンテーターetc. 嘘にはもうウンザリだ。一見もっともらしいニュースや論評には、フェイク(虚偽の情報)が大量に含まれている。真偽を見抜くには何をすべきか。」(宣伝文より)
★藤代裕之 『ネットメディア覇権戦争:偽ニュースはなぜ生まれたか 』
  光文社,2017.1. 287p. ¥800+税 (光文社新書)
「偽ニュースを生み出す背景や構造を明らかにした上で、Yahoo!、LINE、スマートニュース、日経、ニューズピックスという5つのニュースメディアを中心に、スマホを舞台にしたニュースを巡る攻防を描く。」(宣伝文より)
●高木 徹 『国際メディア情報戦』
  講談社, 2014.1. 261p. ¥800(講談社現代新書)
視野を世界に広げないと見えてこない情報戦争について、身近で豊富な具体例によりわかりやすく解説。アメリカ大統領選の裏舞台、対テロ戦争と次世代アルカイダ、情報戦争における日本の弱みと強みなど。
★森 達也 『たったひとつの「真実」なんてない:メディアは何を伝えているのか?』
  筑摩書房, 2014.11. 201p. ¥820+税(ちくまプリマー新書)
メディアリテラシーのわかりやすい入門書。メディアはなぜ必要なのか、テレビの演出・やらせがなぜ行われるのか、メディアはどのように冤罪を作るのか、メディアは戦争をどのようにして後押しするのかなど、わかりやすい例を引いて丁寧に説明してます。マスメディアのみでなくソーシャルメディアにも言及。
★佐々木俊尚 『「当事者」の時代』
  光文社,2012.3. 468p. ¥950(光文社新書)
筆者は元毎日新聞の記者。自らの記者としての体験と丁寧な取材をもとにして、日本のジャーナリズムおよび社会運動を、「マイノリティ憑依」というキーワードで批判する読み応えのある一冊。
★内田 樹 『街場のメディア論』
  光文社,2010.8. 213p. ¥740(光文社新書)
ベストセラーの多い内田氏のメディア論。日本のマスメディアはなぜ凋落(ちょうらく)したのかが解き明かされます。大学の講義をもとにしているので、読みやすい文体です。
★影浦 峡 『信頼の条件:原発事故をめぐることば』
  岩波書店,2013.4. 98p. ¥1200(岩波科学ライブラリー)
著者は情報学の研究者、東大教授。「福島原発事故後、事実としても科学としても誤った発言が跋扈した。ところが、受け手の市民に責任が転嫁される事態が生じている。専門家といわれる人々のことばから論理の構造を抽出し、どこに問題があるのかを明確にする。信頼の条件とは、内容の確かさだけではない。科学者を含む市民皆が直視すべき、知識の扱い方の問題である。」(宣伝文より)
★影浦 峡 『3.11後の放射能「安全」報道を読み解く:社会情報リテラシー実践講座』
  現代企画室,2011.7. 193p. ¥1050
著者は情報学の研究者、東大教授。「基準を何倍も超えても「危険でない」なら、基準ってなんのためにあるの?/いろいろな情報がありすぎて、何を信じたらいいのかわからない!/こんな不安を感じるのは、あなたのせいではない。問題は、言葉を空虚にする報道のあり方そのものにある。/大切なのは、情報をよく聞きわけ、基本的な事実や言葉の意味に立ちかえり、自分自身で判断すること。/放射能汚染の危険に、私たち市民はいかに向きあうのか。そのヒントを、気鋭の情報論研究者が、実際の報道の詳細な分析を通じて解きあかす。」(宣伝文より)
●松田美智子 『新潟少女監禁事件:密室の3364日』
  朝日新聞出版, 2009.2. 322p. ¥740+税(朝日文庫)
“男は、小学4年生の女児を連れ去り、9年2ヵ月にわたり彼女を自室に閉じ込めつづけた。その間、女児は文字どおり一歩も外にでることを許されなかった。本書は、信じがたいが、しかし実際に起きたこの監禁事件を追ったノン・フィクションです。事件それ自体の内容もさることながら、ジャーナリストがいかに取材・記述するのか、その仕事の進め方が丁寧に描かれています。伝える職業に興味のある方は必読です。” 【メディアコミュニケーション学科の推薦図書リスト(2010年度)】

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2.2 テレビ・ラジオ・新聞

★瀬地山角 『炎上CMでよみとくジェンダー論』
  光文社, 2020.5. 263p. ¥820+税(光文社新書)
性差別に起因して炎上したCMをタイプ分けし、その背後にある差別をジェンダー論の観点から分析している。巻末に1975〜2020年の炎上CM年表があり、データとして貴重。
●川端和治 『放送の自由:その公共性を問う』
  岩波書店,2019.11.240p.840円+税(岩波新書)
テレビ業界は新たな対応を迫られている。また、放送は放送法という法律により行政による縛りが強い点で、他のメディア業界と異なった問題を抱えている。本書は「放送の自由」という基本的なテーマを丁寧に解説しており、テレビ業界による自主的な活動の意義などを広く理解することができる。
★川本裕司 『テレビが映しだした平成という時代』
  ディスカヴァー・トゥエンティワン, 2019.2. 239p. ¥1100+税(ディスカヴァー携書)
テレビ番組をジャンルごとに、30年間で番組がどのように変わったか、その背景は何かについて論じている。第1章 ドラマ/アニメ;第2章 バラエティ;第3章 ニュース/スポーツ/ドキュメンタリー。
★大原通郎 『テレビ最終戦争:世界のメディア界で何が起こっているか』
  朝日新聞出版, 2018.7. 235p. ¥810(朝日新書)
映像のネットワーク配信がますます広がる中、世界と日本の「デジタルメディアウォーズ」はますます激化しつつある。テレビ、映画を含む映像ビジネスの激変を、2018年夏の最新動向を踏まえて解説。
★荻上チキ 『すべての新聞は「偏って」いる:ホンネと数字のメディア論』
  扶桑社, 2017.12. 263p. ¥1300
豊富なデータにもとづいて、日本のメディアの現状を具体的かつ明快に分析している。
●望月衣塑子 『新聞記者』
  KADOKAWA, 2017.10. 222p. ¥800(角川新書)
東京新聞の現役記者が自らの経歴、体験を語り、日本のジャーナリズムの実態を証言。
●吉野嘉高 『フジテレビはなぜ凋落したのか』
  新潮社, 2016.3. 223p. ¥740(新潮新書)
著者はフジテレビの元プロデューサー。1982〜93年、2004〜2010年の長きにわたり年間平均視聴率「三冠」を達成していたフジテレビが、2011年以降なぜ低迷しているのかを、業界の内部事情に詳しい著者ならではの視点で分析。
●黄菊英 著, 長谷 正人 著, 太田 省一 『クイズ化するテレビ』
  青弓社, 2014.7. 184p. ¥1600+税(青弓社ライブラリー)
いまテレビは無数の問いかけと答え=クイズであふれている。啓蒙・娯楽・見せ物化というクイズの特性がテレビを覆い尽くし、情報の提示そのものがイベント化している現状を、韓国の留学生が具体的な番組を取り上げながら読み解く「テレビの文化人類学」。(宣伝文より)
●岩本 裕 『世論調査とは何だろうか』
  講談社, 2015.5. 256p. ¥800(岩波新書)
「結果次第では内閣の命運も左右するといわれる世論調査。それは国民の意思や意見のありかを伝え、権力を監視する強力な手段でもある。民主主義の礎としての重要性を説く。」(宣伝文より)
★上杉 隆『新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか』
  PHP研究所,2012.2. 199p. ¥720+税 (PHPビジネス新書)
著者は、日本の記者クラブ制度の閉鎖性を厳しく追及してきた元ニューヨークタイムズの記者です。3.11報道については「9のウソ」(「メルトダウンはしていません」「放射性物質は拡散していません」など)を告発。日本におけるジャーナリストと官僚、政治家との馴れ合いを「官報複合体」と呼んで糾弾している。
●佐々木俊尚 『2011年新聞・テレビ消滅』
  文藝春秋,2009.7. 237p. ¥788(文春新書)
「編集・編成権に支えられたマスコミのビジネスモデルが危機を迎えた。ジャーナリズムはなくなるのか? 世論形成は誰が行うのか?」(宣伝文より)
●指南役 『テレビは余命7年』
  大和書房,2011.9. 244p. ¥1400
著者は放送作家として長年テレビ業界にかかわってきた人物。テレビドラマがつまらなくなった理由などをあげ、テレビ業界を江戸末期の幕府に喩え、余命をあと7年と宣告している。
●中川勇樹 『テレビ局の裏側』
  新潮社,2009.4. 301p. ¥207+税 (新潮新書)
著者はフリーのテレビディレクター。
●小林弘人 『新世紀メディア論:新聞・雑誌が死ぬ前に』
  バジリコ,2009.4. 301p. ¥1500
「ITメディア界の仕掛け人・小林弘人が、世界のウェブメディア最先端情報を紹介しつつ、今後メディアビジネスで成功するため必須のノウハウをおしげもなく公開。」(宣伝文より)
●猪熊建夫 『新聞・TVが消える日』
  集英社,2009.2. 195p. ¥700+税(集英社新書)
「ウェブ時代に生き残るメディアとは? テレビが消える? 大手新聞社が崩壊? ネットの大波に曝され、変革を迫られるコンテンツ産業。新聞業界の窒息を資本の閉鎖性と絡めて論じる、など元経済部デスクの確かな眼で、業界全体を見渡す!」(宣伝文より)
★境 真良 『テレビ進化論』
  講談社,2008.4. 221p. ¥756(講談社現代新書)
「インターネットの躍動、テレビ業界の憂鬱 ネットの進化はテレビを滅ぼす!? 『放送と通信の融合』の意味とは? 映像コンテンツ産業の来歴と構造から、いま起きつつある地殻変動の本質を解き明かす。」(宣伝文より)
★歌田明弘 『ネットはテレビをどう呑みこむのか?』
  アスキー,2007.6. 250p. ¥724(アスキー新書)
著者はITコラムニスト。放送と通信の融合、テレビとネット近未来を、豊富な実例でていねいに描き出している。
●藤平芳紀 『視聴率の正しい使い方』
  朝日新聞社,2007.4. 239p. ¥756+税 (朝日新書)
視聴率を使った卒論・ゼミ論を書くときの必読書。

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2.3 本・出版流通・電子書籍

★日本図書館情報学会研究委員会編 『電子書籍と電子ジャーナル』
  勉誠出版,2014.11. 265p. ¥1800+税 (わかる!図書館情報学シリーズ)
海野が第2章「メディアとしての電子書籍」(pp.37-53.)の執筆を担当。この部分だけ読んでもよい。
●岸 博幸 『アマゾン、アップルが日本を蝕む:電子書籍とネット帝国主義』
  PHP研究所,2011.4. 265p. ¥820+税 (PHPビジネス新書)
「電子書籍の登場に警戒する出版業界、ビジネスチャンスを狙う電機・IT業界……双方のアタマに風穴を開ける、未来を見通す戦略書。」「日本はいかに米国ネット企業の搾取にストップをかけ、ネット帝国主義に対応すべきか。」(宣伝文より)
●山田 順 『出版大崩壊:電子書籍の罠』
  文藝春秋, 2011.3. 256p. ¥820+税(文春新書)
「大手出版社に34年間勤め、電子出版に身を投じた編集者が、自らの体験を基に既成メディアの希望的観測を打ち砕く衝撃レポート。」(宣伝文より)
●池澤夏樹編 『本は、これから』
  岩波書店 , 2010.11. 244p. ¥820+税(岩波新書)
「本の過去と未来を俯瞰する三七のエッセイ。」(宣伝文より)
●歌田明弘 『電子書籍の時代は本当に来るのか』
  筑摩書房,2010.10. 269p. ¥820+税 (ちくま新書)
「グーグル、アップル、アマゾンらの最新の動向と、それに対峙する日本の出版社・新聞社の試みとを丹念に取材・分析」(宣伝文より)
●大原ケイ 『ルポ 電子書籍大国アメリカ』
  アスキー・メディアワークス,2010.9. 191p. ¥820+税 (アスキー新書)
「日本でも電子書籍元年を迎えた2010年。アマゾン、グーグル、アップルの真の目的は何か?本の電子化で読書習慣、思考の仕方、出版社・著者・読者のあり方はどう変わっていくのか?電子書籍とブックピープルの未来地図がここにある!電子書籍市場の最前線からレポート。」(宣伝文より)
●齋藤 孝 『読書する人だけがたどり着ける場所』
  SBクリエイティブ, 2019. 191p. ¥800+税(SB新書)
読書の意義、読書の方法を論じたもので、SNS世代の若い人たちへ向けて書かれている。
●齋藤 孝 『読書力』
  岩波書店, 2002.9. 210p. ¥740+税(岩波新書)
本はなぜ読まなければならないのかを納得させてくれる一冊。本の読み方も指南。
●齋藤 孝 『10分あれば書店に行きなさい』
  メディアファクトリー, 2012.10. 196p. ¥700+税(メディアファクトリー新書)
●平野啓一郎 『本の読み方:スロー・リーディングの実践』
  PHP研究所, 2009.6. 224p. ¥756(PHP文庫)
本の読み方を変えたい人にお薦め。「速読は本当に効果があるのか? 10冊の本を闇雲に読むよりも、1冊を丹念に読んだほうが、人生にとってはるかに有益ではないのか? 著者は、情報が氾濫する時代だからこそ、「スロー・リーディング」を提唱する。」(宣伝文より)

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2.4 ソーシャルメディア〜SNS・Youtube・ブログ etc.

*このカテゴリは、最新動向と近未来予測を踏まえた新刊書が次々と刊行されています。ネットや書店で自分で探してみましょう。新書判がねらい目です。

★山口真一 『正義を振りかざす「極端な人」の正体』
  光文社, 2020.9. 214p. ¥760(光文社新書)
SNSでの誹謗中傷、不謹慎狩り、自粛警察、悪質クレーマーなどが社会問題となっている。筆者は大量のデータ分析から「炎上加担者はごく少数」、「SNSは世論を反映しない」などの実態を明らかにしている。
★田中辰雄,浜屋敏 『ネットは社会を分断しない』
  KADOKAWA, 2019.10. 240p. ¥946(角川新書)
SNSにより主張が先鋭化して社会が分断するという見方に対して、10万人以上の大規模なアンケート調査により、日本においては当てはまらず、むしろネット利用は極端な意見を穏健化する効果があることを実証。また、それなのになぜネットで極端な意見が目立つのかを謎解きしている。
●天野彬 『SNS変遷史:「いいね!」でつながる社会のゆくえ』
  イースト・プレス, 2019.10. 325p. ¥920+税(イースト新書)
パソコン通信、メルマガ、ブログ、大規模掲示板などを前史として急速に発展、普及したSNSの歴史とその特性を分析。「いいね」や「なう」で新たなつながりが生まれ、スマホの登場により「映え」重視のメディアとなった。
●ジェームズ・ブラッドワース著、濱野大道訳 『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』
  光文社,2019.3.344p.1800円+税
SNSの普及で働き方が大きく変わろうとしている現状を知ることができる好著。アマゾンの配送センター、ウーバーのタクシーサービス、ゼロ時間契約の訪問介護サービスなど、現在イギリスで急増中の新しい働き方について、著者が自ら体験してその過酷な実態描いたルポルタージュ。日本の労働環境の近未来。
★岡田斗司夫 『ユーチューバーが消滅する未来:2028年の世界を見抜く』
  PHP研究所, 2018.11. 213p. ¥950(PHP新書)
序章 「未来格差」に備える/第1章 未来予測の3大法則/第2章 自分を「盛る」時代/ 第3章 AIがユーチューバーを淘汰する/第4章 アイドルは新時代の貴族になる/第5章 アマゾンが不動産へ進出/ 第6章 バーチャルとリアルの恋愛の境界が消える/第7章 AIロボットが家族の代わりに/第8章 人工知能が政治を変える/ 終章 未来の幸福論
●藤代裕之編著 『ソーシャルメディア論:つながりを再設計する 改訂版』
  青弓社, 2019.2. 603p. ¥1800
大学生向けの教科書として出版されたもの。15の話題について最新動向を踏まえて書かれている。第1部「歴史を知る」(歴史、技術、法)、第2部「現在を知る」(ニュースメディア、広告、政治、キャンペーン、都市、権利、モノ)、第3部「未来を考える」(メディア、共同規制、システム、教育、人)。
●田中辰雄,山口真一 『ネット炎上の研究: 誰があおり、どう対処するのか』
  勁草書房, 2016.4. 256p. ¥2420
炎上について定量的な分析を行うとともに、その原因と社会としての炎上対策を示している。
●高橋暁子 『ソーシャルメディア中毒:つながりに溺れる人たち』
  幻冬舎エデュケーション, 2014.12. 223p. ¥778 (幻冬舎エデュケーション新書)
著者はITジャーナリスト。ネットいじめ、ネット依存、ソーシャル疲れなど、ソーシャルメディアをめぐるさまざまな問題について分かりやすく整理し、解説している。
●津田大介 『動員の革命:ソーシャルメディアは何を変えたのか』
  中央公論新社, 2012.4. 262p. ¥760 (中公新書ラクレ)
エッセイ風の文章で読みやすい。マイクロペイメント、クラウドファンディングなど、ソーシャルメディアの新しい使い方と可能性を豊富な具体例で描いている。
●津田大介 『ウェブで政治を動かす!』
  朝日新聞出版, 2012.11. 304p. ¥820(朝日新書)
「われわれはいつから「政治」に興味がなくなってしまったのだろうか―。政治は、もはや遠い世界の出来事ではない。ウェブを駆使して社会を動かせる時代は、もうそこまで来ている!本書では動員の革命、政治家のSNS利用、ネット選挙、オープンガバメントなど、政治への新しいアプローチを説く。」(宣伝文より)
●山田 順 『本当は怖いソーシャルメディア:2015年「メディア融合時代」を考える』
  小学館, 2012.3. 222p. ¥720 (小学館101新書)
フェイスブック、ツイッターなどソーシャルメディアを次世代のメディアとして礼賛する声が多いなか、その社会的な問題点、危険性を論じている。
●小林啓倫 『災害とソーシャルメディア:混乱、そして再生へと導く人々の「つながり」』
  毎日コミュニケーションズ, 2011.7. 239p. ¥830(マイコミ新書)
●立入勝義 『そのときソーシャルメディアは何を伝えたか?:検証 東日本大震災』
  ディスカヴァー・トゥエンティワン,2011.6. 267p. ¥1000(ディスカヴァー携書)
著者はブログ作家。ソーシャルメディアが東日本大震災でどのように活用されたか、ソーシャルメディアによるどのような復興支援プロジェクトがあったか、どにょうなデマと風評被害があったかなどを記録している。
●濱野智史・佐々木博 『日本的ソーシャルメディアの未来』
  技術評論社,2011.3. 175p. ¥1480+税(PCポケットカルチャー)
「ネットコミュニティの研究では他の追随を許さない濱野智史が、「そもそも“共同体”(コミュニティ)“社会”(ソサエティ)って何?」といった話題から集合知・アーキテクチャの仕組みやソーシャルメディアの未来までを、ナビゲーター・佐々木博とともに徹底的に語り尽くす。」(宣伝文より)
●山本まさき・古田雄介 『ウィキペディアで何が起こっているのか:変わり始めるソーシャルメディア信仰』
  九天社,2008.5. 219p. ¥1900
ネット検索で上位にヒットすることが珍しくないウィキペディアであるが、項目が玉石混交であること、内容が間違いだらけのことがあること、悪意ある書き手を防げないことなどの危険を指摘している。ネットの匿名性と民主制を考えるために大いに参考になる。
●ひろゆき 『僕が2ちゃんねるを捨てた理由』
  扶桑社, 2009.5. 243p. ¥777(扶桑社新書)
著者は2ちゃんねるの元・管理人。「2009年1月2日、ブログにて突如、巨大インターネット掲示板「2ちゃんねる」の譲渡を発表した著者が、“2ちゃん譲渡”の真相をはじめて語るとともに、クラウドコンピューティングやフィルタリングなど、最近流行りのネット用語の大きな勘違いをバッサリ! また、ニコニコ動画管理人として、なかなか儲からない動画ビジネスの現実と未来や、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌の四大マスメディアとネットビジネスの比較論も展開する。」(宣伝文より)
★荻上チキ 『ウェブ炎上:ネット群集の暴走と可能性』
  筑摩書房, 2007.10. 221p. ¥700(ちくま新書)
ブログや掲示板が炎上する仕組みを、サイバーカスケード、ハイパーリアリティ、エコチェンバーなどの概念を使ってわかりやすく説明している。

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2.5 グーグル・サーチエンジン

●シヴァ・ヴァイディアナサン 『グーグル化の見えざる代償:ウェブ・書籍・知識・記憶の変容』
  インプレスジャパン,2012.2. p.319. ¥2000
「企業/技術/市場/メディア/個人/公共/知識/記憶など、様々な視点から、グーグル化の実像を描き出す。4年を費やして丹念に調査・執筆。世界的なグーグル化現象を見究めながら、期待や幻滅、容認、警鐘を記した渾身の一冊。」(宣伝文より)
●スティーブン・レヴィ 『グーグル ネット覇者の真実:追われる立場から追う立場へ』
  阪急コミュニケーションズ,2011.12. p.629. ¥1995
グーグルの関係者に取材して、発展の経緯を詳細に分析したノンフィクション。グーグルの様々な「なぜ」に答えを与えてくれる。
●ケン・オーレッタ 『グーグル秘録:完全なる破壊』
  文藝春秋,2010.5. 549p. ¥1995
グーグル関係者や競争相手に取材して、グーグルの創業から現在までの活動を描いた本格的なルポルタージュ。
★竹内一正 『グーグルが日本を破壊する』
  PHP研究所, 2008.4. 222p. ¥756(PHP新書)
「検索連動型広告という新しいビジネスモデルによって、時価総額二六兆円の大企業となったグーグルは、世界中の情報を支配することで、世の常識とルールを破壊しつづけている。」(宣伝文より)
●小山雄二 『Googleが消える日:情報学序説』
  カナリア書房, 2008.5. 214p. ¥1400
「無法地帯と化したインターネットの世界。信頼を基盤とする情報化社会の構築は可能か。」(宣伝文より)
●NHK取材班 『NHKスペシャル グーグル革命の衝撃』
  日本放送出版協会, 2007.5. 269p. ¥1000
2007年1月に放送されたNHKスペシャルのための取材内容を改めてまとめたもの。ジャーナリスティックな文章なので非常に読みやすい。
●吉本敏洋 『グーグル八分とは何か』
  九天社, 2007.1. 269p. ¥857(PHP新書)
グーグル八分とは、村八分から発想したことばで、グーグルが特定のウェブサイトを検索結果に含まれないようにすること。著者の体験に基づいてグーグルによる検閲、言論封殺を批判している。
●森 健 『グーグル・アマゾン化する社会』
  光文社, 2006.9. 253p. ¥735(光文社新書)
検索システムの支配する社会の問題点を指摘している。「多様化、個人化、フラット化した世界で、なぜ一極集中が起きるのか? 気鋭のジャーナリストが、ネット社会の矛盾に斬り込む。」(宣伝文より)
●佐々木俊尚 『グーグル Google:既存のビジネスを破壊する』
  文藝春秋,2006.4. 248p. ¥760(文春新書)
古くなって最新動向を欠くが、グーグルの全体像、グーグルの経営理念を把握するのによい。

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2.6 メタバース・Web3

●井上智洋 『メタバースと経済の未来』
  文藝春秋,2022.12. p.303. ¥990(文春新書)
仮想空間で日常活動が可能となる「メタバース」が実現したとき、我々の社会の仕組み、経済の仕組みはどのように変化するのか、豊かな社会が実現できるのか、さらなる各社社会が出現するのか。人工知能やメタバースに造詣が深い経済学者が、モノの生産ではなく情報の生産が中心となる経済システムへの移行が何をもたらすのかを論じている。
●岡嶋裕史 『Web3とは何か:NFT、ブロックチェーン、メタバース』
  光文社,2022.12. p.382. ¥1056(光文社新書)
近年、「ウェブスリー」は、巨大企業の支配から脱却した新たなコミュニティを形成するテクノロジーとして期待されている。しかし、本書はWeb3の要素技術であるブロックチェーン、NFTの仕組みと特性を丁寧に紹介して、ウェブ3の問題点を指摘している。
★岡嶋裕史 『メタバースとは何か:ネット上の「もう一つの世界」』
  光文社,2022.1. p.246. ¥902(光文社新書)
メタバースのエンタメ的側面に関心のある人向き。メタバースの概要やエンタメの観点からの魅力、GAFAがどのように取り組んでいるかといった点について、要領よくまとめられている。
●加藤直人 『メタバース:さよならアトムの時代』
  集英社,2022.4. p.272. ¥150
宣伝文「GAFAMがしのぎを削る現状から、VRの歴史や背後の思想、そして驚きの未来像まで、メタバースに関わるすべてを網羅!」
●雑誌『ele-king』臨時増刊号 『仮想空間への招待:メタヴァース入門』
  Pヴァイン,2021.10. p.159. ¥1760
複数の著者の記事で構成されている。

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2.7 ネットワークの心理・病理・精神分析

★アンデシュ・ハンセン 『スマホ脳』
  新潮社, 2020.11. 256p. ¥1078(新潮新書)
スウェーデンの精神科医が執筆した世界的なベストセラー。 最新の脳科学研究に基づき、スマホを身近に置いておくだけで学習効果、記憶力、集中力は低下する、1日2時間を超えるスクリーンタイムはうつのリスクを高めるなどの事実を明らかにしている。
●中山秀紀 『スマホ依存から脳を守る』
  朝日新聞出版, 2020.2. 232p. ¥869(朝日新書)
日本で初めて「インターネット依存専門治療外来」を開設した国立病院機構久里浜医療センターの医師による著作。スマホの脳への影響と治療法を解説。
●樋口進 『スマホゲーム依存症』
  内外出版, 2017.12. p. ¥1078(朝日新書)
ゲーム依存(障害)を病気としてWHOの国際疾病分類(ICD)に追加 することに尽力し、日本で初めて「インターネット依存専門治療外来」を開設した国立病院機構久里浜医療センターの院長による著作。
●岩田考ほか編 『若者たちのコミュニケーション・サバイバル:親密さのゆくえ』
  恒星社厚生閣, 2006.3. 169p. ¥2000
8本の独立した論文を収録。第7章「メディア・コミュニケーションにおける親密な関係の築き方:パソコン通信からインターネットの時代へ」と第8章「インターネット社会の恋愛関係:『複合現実社会』における親密性と匿名性」のみを読んでもよい。
●江下雅之 『ネットワーク社会の深層構造:「薄口」の人間関係へ 』
  中央公論社, 2000.1. 273p. ¥882(中公新書)
ダイヤルQ2が例としてあげられているなど、すでに内容が古い部分もあるが、第4章「ネットワーク上に見られる現象」、第5章「コミュニケーションの原理」など、ネット上でのコミュニケーションの特徴に冠する考察は、いまでも十分に通用する。
●アダム N.ジョインソン(三浦 麻子ほか訳) 『インターネットにおける行動と心理:バーチャルと現実のはざまで』
  北大路書房, 2004.2. 246p. ¥2940
第3章 インターネット行動の個人的/対人関係の否定的側面/ 第4章 抑うつ,ウソ,ポルノ:オンライン生活の暗黒面/ 第5章 インターネット上の個人内・個人間行動:肯定的な側面/ 第6章 共有とネットサーフィン:オンライン・コミュニケーションとウェブ・ブラウジングの利点/ 第7章 インターネット行動を理解するためのフレームワーク (目次より)
●パトリシア ウォレス (川浦 康至ほか訳) 『新版 インターネットの心理学』
  NTT出版, 2018.9. 496p. ¥4070
「ネット上で、なぜ、どのように人の心や行動は変わるのか? ネット上で変貌する人間心理を解き明かす SNS、いじめ、炎上、集団力学、プライバシー、ジェンダー、子供とネット、オンラインゲーム…… ますます広がるインターネットの影響と問題対応を説き明かす。」
●池田謙一 『ネットワーキング・コミュニティ』
  東京大学出版会, 1997.10. 202p. ¥3000
「パソコン通信、インターネット(WWW)など電子情報の爆発!その中で、人間関係やコミュニティはどう作られ、どう変わるのか? 何にリアリティを感じるのか? 調査データから問う。」
●バリー・サンダース(杉本卓訳) 『本が死ぬところ暴力が生まれる:電子メディア時代における人間性の崩壊』
  新曜社, 1998.10. 318p. ¥2850
●宮田加久子編著 『オンライン化する日常生活:サポートはどう変わるのか』
  文化書房博文社, 2008.7. 188p. ¥3200+税
部分読み可。目次より「1章 インターネットによるソーシャル・サポート 2章 少数派の組織化とインターネット 3章 インターネットは家族に何をもたらすのか 4章 超高齢社会における「シニアネット」の可能性 5章 シニア世代におけるオンライン、オフラインでのソーシャル・サポートの効果」
●宮田加久子 『電子メディア社会:新しいコミュニケーション環境の社会心理』
  誠信書房, 1993.8. 211p. ¥2600
インターネットが社会に普及する前の研究。基本的な考え方は変わっておらず、研究方法も参考になる。

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2.8 ネット犯罪・情報倫理・セキュリティ

●毎日新聞取材班 『SNS暴力:なぜ人は匿名の刃をふるうのか』
  毎日新聞社,2020.9. 229p. ¥1300+税
2020年、SNS上で誹謗中傷を受けた女子プロレスラーの木村花さんの死をきっかけに、ネット炎上の事例や加害者を含む当事者たちへ幅広く取材し、SNS上の誹謗中傷の実態やその背景を明らかにしている。
★スマイリーキクチ 『突然、僕は殺人犯にされた:ネット中傷被害を受けた10年間』
  竹書房, 2014.4. 350p. ¥700+税(竹書房文庫)
まったく身に覚えのない誹謗中傷を10年間も大量にされつづけた芸人が、その一部始終を書きつづったドキュメンタリー。読んでいてサスペンス小説を読むような面白さ。
★荻上チキ 『ネットいじめ:ウェブ社会と終わりなき「キャラ戦争」』
  PHP研究所, 2008.7. 269p. ¥740+税(PHP新書)
「「子どもたちを守れ!」を合言葉に、ネットやケータイの使用規制が叫ばれる。はたしてこれで、いじめは減るのか? 「学校裏サイト」を利用する子どもたちの生の声を分析すると、ネット空間は現実の人間関係の延長にあり、要は使う人間の質と環境が問題だとわかる。そしてそこには、空気を読まなければ叩かれる現代の若者事情が見え隠れする。学校でも、職場でも簡単に見えるようになった〈陰口〉。この息苦しさの正体が明らかになる。」(宣伝文より)
●谷脇康彦 『サイバーセキュリティ』
  岩波書店, 2018.10. 174p. ¥760+税(岩波新書)
サイバーセキュリティについては技術系の本が多い中、本書は社会全般の問題として、サイバーセキュリティの実態、企業での問題、国の役割、国際的な問題などを幅広くわかりやすく論じている。
●中島明日香 『サイバー攻撃:ネット世界の裏側で起きていること』>
  講談社, 2018.1. 256p. ¥1000+税(ブルーバックス)
第1章 サイバー攻撃で悪用される「脆弱性」とは何か/第2章 サイバー攻撃は防げるか:脆弱性の発見・管理・修正/ 第3章 プログラムの制御はいかにして乗っ取られるか:バッファオーバーフローの脆弱性/ 第4章 文字列の整形機能はいかにして攻撃に悪用されるか:書式指定文字列の脆弱性/ 第5章 いかにしてWebサイトに悪意あるコードが埋め込まれるか:クロスサイト・スクリプティングの脆弱性/ 第6章 機密情報はいかにして盗まれるか:SQLインジェクションの脆弱性/ 第7章 脆弱性と社会:脆弱性市場からサイバー戦争まで
●足立照嘉 『サイバー犯罪入門:国もマネーも乗っ取られる衝撃の現実』
  幻冬舎,2017.7. 232p. ¥800税込(幻冬舎新書)
「世界中の貧困層や若者を中心に、ハッカーは「ノーリスク・ハイリターン」の夢の職業だ。」「日本人は隙だらけ。このままでは生活を守れない! 日々ハッカーと戦うサイバーセキュリティ専門家が、ハッカーの視点や心理、使っているテクニックを、ギリギリまで明かす。」(宣伝文より)
●岡嶋裕史 『ブロックチェーン:相互不信が実現する新しいセキュリティ』
  講談社, 2019.1. 256p. 1000円+税(ブルーバックス)
第1章 なぜ社会現象になったのか/第2章 特定の値を導く「ハッシュ」/第3章 さまざまな事象への「ハッシュ」の応用/ 第4章 不正できない構造が連鎖していくしくみ/第5章 ブロックチェーンが抱える課題と他分野への転用/ 終章 最初の理念が骨抜きにされると、普及が始まる
●セキュリティ集団スプラウト 『闇ウェブ』
  文藝春秋,2016.7. 218p. ¥780税込(文春新書)
インターネットには「ダークウェブ」と呼ばれる知られざる空間が存在し、「サイバー犯罪と闇市場」の中心的舞台となっている。麻薬、偽造パスポート、偽札、盗難品、違法ポルノ、銃器、サイバー攻撃請負、殺人請負……違法なものが何でも揃う「犯罪のデパート」の実態を解説。
●ジョナサン・ジットレイン 『インターネットが死ぬ日:そして、それを避けるには』
  早川書房,2009.6. 466p. ¥1470税込(ハヤカワ新書juice)
「インターネットが爆発的に普及して生活が豊かになった反面、悪意あるサイトへの誘導、ウイルス感染、ネット犯罪に直面する危険性は増している。世界が注目するサイバー法学者が放つウェブ退化論」(宣伝文より)
●ブルース スターリング(今岡 清訳) 『ハッカーを追え!』新装版
  アスキー, 2001.3. 442p. ¥1480
古典的なロングセラー。ノンフィクション。1990年にFBIによって行なわれたハッカー一斉取締りを題材にしている。
●クリフォード ストール(池 央耿訳) 『カッコウはコンピュータに卵を産む』上・下
  草思社, 1991.9. 302+293p. ¥1900+¥1900
これも古典。ノンフィクション。だいぶ古いが、ハッカーの存在を世界に知らしめたベストセラー。

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2.9 著作権・知的財産権・プライバシー権

●福井健策 『著作権とは何か:文化と創造のゆくえ』改訂版
  集英社, 2020.3. 224p. 820円+税(集英社新書)
あらゆる人々にとって身近な権利となった著作権の入門書として定評の ある著作の改訂版。成立の経緯やその基本理念などを、われわれが日常的に 接したり見聞きする事例を題材に具体的に解説しているので、興味深く 読むことができる。
●池村聡 『はじめての著作権法』
  日本経済新聞出版, 2018.1. 248p. ¥900(日経文庫)
「著作権なんて恐くない! ――基本知識や最新情報を“ざっくり"“さくっと"解説」(宣伝文より)
●宮下紘 『ビッグデータの支配とプライバシー危機』
  集英社, 2017.3. 254p. ¥760(集英社新書)
「インターネット技術の発展により、世界中の情報がつながり「ビッグデータ」が形成される今、人々のプライバシーは未曾有の危機にさらされている。」(宣伝文より)
●小向太郎 『情報法入門:デジタル・ネットワークの法律』第3版
  NTT出版, 2015.3. 233p. ¥2800
「サイバーセキュリティ、マイナンバー、パーソナルデータ制度の見直しなど、最新の法的問題を完全網羅。ビッグデータ時代の「情報法」教科書。IT戦略・情報技術・法務担当者の必読書。」(宣伝文より)
●神田知宏 『ネット検索が怖い:「忘れられる権利」の現状と活用』
  ポプラ社, 2015.5. 165p. ¥842(ポプラ新書)
「上司に批判をSNSに書いてしまった/プライバシーがネットに漏れた/自分の子どもが友だちの悪口をネットに/会社が「ブラック企業」と中傷された…ネットの書き込みや記事で苦しむ人が急増しています。グーグルから削除仮処分決定を勝ち取った気鋭のIT弁護士が、具体的な事例をもとに「忘れられる権利」の現状と活用法を伝授します。」(宣伝文より)
●福井健策 『誰が「知」を独占するのか:デジタルアーカイブ戦争』
  集英社, 2014.9. 247p. ¥760(集英社新書)
「近年、アーカイブのデジタル化に伴い、これら「情報資産」を巡る国境を越えた覇権争いが激化している。グーグルやアマゾンなどアメリカ発の企業が世界中の情報インフラを掌握しつつある一方で、お粗末極まりないのが日本の現状。本書では世界を巻き込んだ「知の覇権戦争」の最新事情を紹介し、日本独自の情報インフラ整備の必要性を説く。」(宣伝文より)
●神田芳明ほか 『その「つぶやき」は犯罪です: 知らないとマズいネットの法律知識』
  新潮社, 2014.5. 207p. ¥756(新潮新書)
「『田中はバカだ!』『田中が0点を取った』――どちらが罪になる? ブログの悪口、ツイートの拡散、店の口コミ、SNSのタグ付け……これらが全て「犯罪」だとしたら!? インターネットの法律・ルールを弁護士が徹底解説。」(宣伝文より)

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2.10 その他

★伊藤亜聖 『デジタル化する新興国:先進国を超えるか、監視社会の到来か』
  中央公論新社, 2020.10. 245p. ¥902 (中公新書)
デジタル技術の進化は、中国、インド、東南アジアやアフリカ諸国など、新興国・途上国を劇的に変え、過去を引きずっている先進国に追いつき、部分的には追い越している側面すらある。世界の流れに遅れをとっている日本の位置を把握するためにも有用な一冊。
●岡野寿彦 『中国デジタル・イノベーション:ネット飽和時代の競争地図』
  日本経済新聞出版, 2020.9. 430p. ¥2750
「ネット+リアル」への戦略転換、日本企業にとって好機が到来する!第二幕に突入した中国デジタル革命。中国デジタルビジネス・ウォッチャーが最新の変化を読み解く。(宣伝文より)
●春木育美 『韓国社会の現在:超少子化、貧困・孤立化、デジタル化』
  中央公論新社, 2020.8. 256p. ¥968 (中公新書)
世界トップレベルのデジタル社会を実現した韓国の社会状況を分析した本。日本が抱える問題が先行して出現している部分もあり、隣国の状況を正しく理解することは日本にとって重要。
★NHK取材班 『暴走するネット広告:1兆8000億円市場の落とし穴』
  NHK出版,2019.6. 210p. 800円+税(NHK出版新書)
第1章 肥大化するネット広告―ニセ広告が作られるわけ/第2章 巨大海賊版サイトとネット広告/ 第3章 あなたの税金も狙われている/第4章 闇に消える広告費―儲けているのは誰だ!?/ 第5章 ネット広告不正をなくすために
★NHKスペシャル取材班 『米中ハイテク覇権のゆくえ』
  NHK出版,2019.6. 210p. 800円+税(NHK出版新書)
序章 潜入!自動運転開発最前線/ 第1章 躍進する中国―AIを制するものが世界を制す/ 第2章 反撃のアメリカ―激化する技術と情報をめぐる攻防戦/ 第3章 次世代通信「5G」攻防戦―アメリカは何を恐れたか?ファーウェイ事件の真相/ 第4章 ブロックチェーンがすべてを変える―新しい金融秩序が生まれる日/ 第5章 「一帯一路」に集結する新興国―世界はどうなる?激化する「新冷戦」/ 終章 米中対立の間で迫られる日本の選択
●岩田昭男 『キャッシュレス覇権戦争』
  NHK出版,2019.2. 213p. 780円+税(NHK出版新書)
序章 ドキュメント「ペイペイ祭り/第1章 現金の壁を突破せよ!―キャッシュレス狂騒曲/ 第2章 キャッシュレス社会はアメリカで始まった/第3章 キャッシュレス先進国に躍り出た中国 第4章 「信用スコア」の衝撃/第5章 GAFAがすべてを支配する―狙われる個人情報/終章 データ監視社会で身を守る
●森田浩之 『メディアスポーツ解体:〈見えない権力〉をあぶり出す』
  日本放送出版協会, 2009.12. 233p. ¥970(NHKブックス)
マスメディアとスポーツの関係をていねいに解説しています。
●谷口雅子 『スポーツする身体とジェンダー』
  青弓社, 2007.10. 204p. ¥1600+税(青弓社ライブラリー)
男女が別々に競技する現代スポーツでは、「男女別競技の撤廃」対「男女の身体能力差は考慮すべき」という対立がある。その前提である男女別競技が日常化する歴史的過程をスポーツの近・現代受容史から探り、優劣にとらわれないジェンダーの可能性を照らす。(宣伝文より)
●川端幹人 『タブーの正体!:マスコミが「あのこと」に触れない理由』
  筑摩書房, 2012.1. 268p. ¥840(ちくま新書)
マスメディアの自主規制によりタブー化している領域について、皇室、警察、宗教団体から、大企業、広告代理店、芸能プロダクション、ユダヤ系団体まで、ジャーナリストとしての実体験にもとづいて暴露しています。
●安田浩一 『ネットと愛国:在特会の「闇」を追いかけて』
  講談社, 2012.4. 366p. ¥1700
ジャーナリストである著者が“ネット右翼”、“行動する保守”などと言われる市民団体「在日特権を許さない市民の会」を取材したルポルタージュ作品です。
●佐藤卓己 『八月十五日の神話:終戦記念日のメディア学』
  筑摩書房, 2005.7. 278p. ¥820(ちくま新書)
(宣伝文より)「1945年8月15日、それは本当に「終戦」だったのか? 「玉音写真」、新聞の終戦報道、お盆のラジオ放送、歴史教科書の終戦記述などのメディアの検証を通じて「終戦」の記憶がいかにして創られていったかを明らかにする。」
●クリフォード・ストール(倉骨彰訳) 『インターネットはからっぽの洞窟』
  草思社, 1997.1. 405p. ¥2200
インターネットが普及する初期に書かれた古典的な批判書。

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3. アート/エンターテインメント系メディアを考えるための本

*このカテゴリは、いくらでも見つかるので、少しだけしかリストしていません(新しいものが不足)。たくさんありますので、興味ある分野を自分で探して下さい。新書判がねらい目です。例えば、次のサイトが参考になります。

3.1 音楽

●山本浄邦 『K−POP現代史:韓国大衆音楽の誕生からBTSまで』
  筑摩書房, 2023.4. 256p. ¥946(税込)(ちくま新書)
いま世界を席巻するK-POPは、いかにして生まれたのか? BTS成功の秘密は何か?
●榎本幹朗 『音楽が未来を連れてくる』
  DU BOOKS,2021.2.656p. ¥2750(税込)
日米の音楽産業発展の歴史を、特にデジタル化以降の音楽配信サービスを詳細に論じている。とりわけ米国で新しいビジネスを立ち上げた人たちの試行錯誤の様子が丁寧に描かれている。
●アラン・B・クルーガー 『ROCKONOMICS 経済はロックに学べ!』
  ダイヤモンド社.2021.6.480p. ¥2420(税込)
日米の音楽産業発展の歴史を、特にデジタル化以降の音楽配信サービスを詳細に論じている。とりわけ米国で新しいビジネスを立ち上げた人たちの試行錯誤の様子が丁寧に描かれている。
★宮台真司,永田夏来,かがりはるき 『音楽が聴けなくなる日』
  集英社, 2020.5. 215p. ¥820+税(集英社新書)
アーティストが逮捕されると、レコード会社はその作品の出荷を停止・回収し、配信を停止する。これは法律に基づいた措置ではなく、企業による「自粛」で、現在では世間も当たり前のことのように受け入れている。作品を聴き、見る権利が安易に侵害される現状と問題点を社会学者が論じた本。
●永井純一 『ロックフェスの社会学:個人化社会における祝祭をめぐって』
  ミネルヴァ書房, 2016.10. 231p. ¥3500+税(叢書 現代社会のフロンティア)
なぜ若者はフェスに集まるのか? 文化現象としてのロックフェスティバルを分析、変容する個人と共同体の関係を読み解く。(宣伝文より)
●宮入恭平 『J-POP文化論』
  彩流社, 2015.6. 204p. ¥1944
「“社会背景がJ‐POPに影響をもたらす”という視座にもとづき、数多ある議論を再確認。社会科学的アプローチ、さらには独自の調査法を用い、時代とともに変容する環境とアイデンティティの関連を考察。「J‐POP」のアイデンティティを明らかにする。」(宣伝文より)
●佐々木敦 『ニッポンの音楽』
  講談社, 2014.12. 288p. ¥869(講談社現代新書)
「Jポップ誕生「以前」と「以後」の45年を通覧する。主人公の「物語=歴史」でディケイド(10年間)を解き明かす! 70年代 はっぴいえんどの物語、80年代 YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)の物語、90年代 渋谷系と小室系の物語、ゼロ年代以降 中田ヤスタカの物語。」(宣伝文より)
●円堂都司昭 『ソーシャル化する音楽 : 「聴取」から「遊び」へ』
  青土社, 2013.2. 277p. ¥1944
ソーシャル・ネットワークをつうじて、次々と新たなムーヴメントが起こる音楽シーンを全方位レヴュー。コンテンツの現在を大胆に描き出す。(宣伝文より)
●宮入恭平 『ライブハウス文化論』
  青弓社, 2008.5. 222p. ¥1600+税(青弓社ライブラリー)
夢を追う若者たちから団塊世代までが集うライブハウス。ロック喫茶・ジャズ喫茶に出自をもち、1960年代にはカウンター・カルチャーを支える一方で、80年代に高度に商業化していく歴史を追い、カラオケなどとも比較して「生演奏の空間」の魅力とゆくえに迫る。(宣伝文より)
●南田勝也 『ロックミュージックの社会学』
  青弓社, 2001.8. 212p. ¥1600+税(青弓社ライブラリー)
誕生から35年をへて錯綜するロック・イメージを、アウトサイド、アート、エンターテインメントの3つの指標で解析。そこに仮託された超越・反抗・逸脱の感覚の社会的構造を検証し、ある種のコンプレックスを背負って展開してきた日本のロック受容史をたどる。(宣伝文より)
●粟屋佳司 『音楽空間の社会学』
  青弓社, 2008.7. 212p. ¥2000+税
私たちユーザーは音楽をどのように聴き、生活のなかでいかに使っているのか。ラジオやインターネットなどのメディアによって立ち上がる社会空間と音楽の関係をカルチュラル・スタディーズの知見と多様な事例から読み解き、「音楽空間」の内実に迫る文化論。(宣伝文より)
●津田大介・牧村憲一 『未来型サバイバル音楽論:USTREAM、twitterは何を変えたのか』
  中央公論新社, 2010.11. 253p. ¥840+税(中公新書ラクレ)
「CDが売れない音楽業界、ライブ・フェスの盛況、双方向のコミュニケーションで生まれる音楽など、多岐にわたり徹底討論。アーティストが自由に発信できる時代の、音楽のあり方とは?全てのジャンルが溶解しつつある今だからこそ問われるべき「未来型レーベル」の構想。」(宣伝文より)
●烏賀陽弘道 『Jポップとは何か:巨大化する音楽産業』
  岩波書店, 2005.4. 235p. ¥780+税(岩波新書)
1990年代のJポップの急成長とその後の低迷について解説。
●烏賀陽弘道 『Jポップの心象風景』
  文藝春秋, 2005.3. 243p. ¥720+税(文春新書)
浜崎あゆみ、GLAY、B'z、桑田佳祐などの歌詞を分析。「なぜJポップは、これほどまでに日本人の心をとらえてやまないのか―Jポップを代表する八組のアーティストをとりあげ、その人気のありかたや歌詞に通底する文化的原型を、心理学、民俗学、神話学などの手法で分析、彼らに魅せられてしまう日本人の集合的無意識をも明らかにする画期的評論。」(宣伝文より)
●佐藤良明 『J-POP進化論:「ヨサホイ節」から「Automatic」へ』
  平凡社, 1999.5. 218p. ¥690+税(平凡社新書)
「J-POPのJとは何か? この100年に起こった日本の流行歌の変貌を分析し、日本人の心の変容に迫る。カルチュラル・スタディーズの冒険が切り拓く新しい日本文化論の地平。」(宣伝文より)
●小川博司 『音楽する社会』
  勁草書房, 1988.11. 202+xiiip.(=430point) ¥2500+税
ポピュラー音楽を社会学的に考察。
●見田宗介 『近代日本の心情の歴史:流行歌の社会心理史』
  講談社, 1978.4. 215p. ¥819(講談社学術文庫)
社会学的な歌詞分析の古典的名著。明治元年〜昭和38年の流行歌、451曲の歌詞のモチーフをていねいに分析している。単行本による最初の刊行は1968年で、すでに半世紀前。

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3.2 映像・舞台

*いくらでも見つかるので、少しだけしかリストしていません(新しいものが不足)。たくさんありますので自分で探して下さい。

●宇野維正 『ハリウッド映画の終焉』
  集英社,2023.6. 240p. ¥1056(税込)(集英社新書)
ハリウッド映画が危機に瀕している。2020年代に入ってから公開された16本の作品を通して、今、映画界で何が起こっているかを詳らかにしていく。
●海野 敏 『バレエの世界史:美を追求する舞踊の600年』
  中央公論新社,2023.3.320p.940円+税(中公新書)
本講義の担当教員の著書。高校の世界史で馴染みのある人物や事件とバレエの関係も解説。例えば、人物ではダ・ヴィンチ、デカルト、ルソー、マリー・アントワネット、アンデルセン、ケインズなど、事件では、イタリア戦争、サンバルテルミの虐殺、ルイ14世の親政、フランス革命、ロシア革命、#MeToo運動など。
●宮本直美 『ミュージカルの歴史:なぜ突然歌いだすのか』
  中央公論新社,2022.6.246p.840円(中公新書)
音楽社会学の研究者によるミュージカルの歴史と音楽の読みやすい解説書。ミュージカルという舞台芸術がどのように進化してきたのかの道筋が分かって面白い。特に音楽の分析が詳細。
★稲田豊史 『映画を早送りで観る人たち:ファスト映画・ネタバレ−コンテンツ消費の現在形』
  光文社, 2022.4. 304p. ¥990(光文社新書)
メディア環境の変化により、特に若い世代で情報利用行動や価値観が変化してる実態を分析している。
●須川亜紀子 『2.5次元文化論:舞台・キャラクター・ファンダム』
  青弓社, 2021.1. 280p.
「2.5次元の言葉の定義や歴史を押さえたうえで、舞台・ミュージカルに焦点を当てて、声優との関係、宝塚歌劇や特撮ものとの差異を考察する。さらに、前史として重要な舞台作品『聖闘士星矢』『HUNTER×HUNTER』『サクラ大戦』を解説し、転換点になったミュージカル『テニスの王子様』『美少女戦士セーラームーン』、人気の『刀剣乱舞』『ハイキュー!!』の詳細な読解を通じて2.5次元舞台の特徴や魅力を明らかにする。」
●中村隆志編著 『恋愛ドラマとケータイ』
  青弓社, 2014.1. 241p. ¥1728(青弓社ライブラリー)
恋愛ドラマの社会学的分析。「ケータイ機能の高度化・複雑化によって、私たちのコミュニケーションはどう変容してきたのか。ケータイ利用の文脈や背景、ケータイと身体との関係性を探るべく、恋愛ドラマや歌詞でのケータイ表象に注目して分析し、人々とケータイとの距離感を描き出す。」(宣伝文より)
●井上篤夫 『ポリティカル・セックスアピール:米大統領とハリウッド』
  新潮社, 2008.7. 191p. ¥680+税(新潮新書)
ハリウッド映画界がアメリカの政治(とりわけ大統領)にどれほど大きな影響力を行使してきたか、しているかを解説。
●芦刈いづみ・飯富崇生 『時計じかけのハリウッド映画:脚本に隠された黄金法則を探る』
  角川書店, 2008.2. 175p. ¥760+税(角川SSC新書)
ハリウッド映画の脚本術を解説。ヒット映画の基本的なフォーマットがわかる。
●加藤幹郎 『映画館と観客の文化史』
  中央公論新社, 2006.7. 302p. ¥860+税(中公新書)
“映画の作品ではなく、それを観る場(映画館)と人(観客)に着目することにより、映画の歴史を社会史・文化史として扱うことを可能にしている。米・日の今日とはずいぶんと違った映画鑑賞の変遷を知ることができる。” 【メディアコミュニケーション学科の推薦図書リスト(2009年度)】
●扇田昭彦 『日本の現代演劇』
  岩波書店, 1995.1. 246+5p. ¥620+税(岩波新書)
1960年代から1990年代半ばまでの小劇場演劇の革新的な活動を解説。
●風間 研 『小劇場の風景』
  中央公論新社, 1992.8. 218p. ¥640+税(中公新書)
●井上一馬 『ブロードウェイ・ミュージカル』
  文藝春秋, 1999.5. 238p. ¥720+税(文春新書)

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3.3 漫画・コミック・アニメ

*少しだけしかリストしていません。読みやすい新書判は、次のサイトで探してみましょう。

★氷川竜介 『日本アニメの革新:歴史の転換点となった変化の構造分析』
  KADOKAWA,2023.3.258p.¥960+税(角川新書)
日本のアニメはなぜ世界的に評価されているのかを、日本アニメの歴史から解説。画期点となった作品(ヤマト、ガンダム、ジブリ作品、AKIRAなど)は何が優れていたのかを知ることで、アニメの現在と未来を展望することができる。
●津堅信之 『日本アニメ史:手塚治虫、宮崎駿、庵野秀明、新海誠らの100年』
  中央公論新社,2022.4.304p.940円+税(中公新書)
画期となった名作の数々を取り上げ、日本アニメの歴史と現在を描く。
●永田大輔ほか編 『アニメの社会学:アニメファンとアニメ制作者たちの文化産業論』
  ナカニシヤ出版, 2020.10. 268p. ¥2600+税
「多様なファン活動、アニメ産業の特性、それらを支える技術や制度、メディアといった多様な角度からアニメ研究と文化社会学の拡がりを捉え、両者の接続を試みる基本論集。」
●澤村修治 『日本マンガ全史:「鳥獣戯画」から「鬼滅の刃」まで』
  平凡社, 2020.6. 495p. ¥1100+税 (平凡社新書)
日本の漫画の歴史を明治から平成までカバーした一冊。「のらくろ」「鉄腕アトム」から「進撃の巨人」「鬼滅の刃」まで、500点以上の作品を紹介。
●小山昌宏・須川亜紀子編著 『アニメ研究入門〔増補改訂版〕:アニメを究める9つのツボ』
  現代書館, 2014.9. 272p. ¥2300+税
メディア芸術として海外戦略も行われる日本の“アニメ”。そのアニメを学術的に研究する道筋をつけるため、映像・音声・歴史・流通・視聴者・ジェンダーなど様々な視点から読み解く方法を指南する。批評と研究、海外アニメを論じた補章を追加。(宣伝文より)
●伊藤 剛 『テヅカ・イズ・デッド:ひらかれたマンガ表現論へ』
  星海社, 2014.9. 384?p. ¥1015?(星海社新書)
「テヅカ・イズ・デッド」は手塚治虫の死後、なぜ「マンガはつまらなくなった」という言説がひとり歩きしたのかを考え、これからのマンガ表現の可能性を「キャラとリアリティ」の観点から探る1冊。2005年9月にNTT出版より刊行された単行本の内容に加え、新書独自のあとがきも追加されている。(宣伝文より)
●若桑みどり 『お姫様とジェンダー:アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』
  筑摩書房, 2003.6. 206p. ¥700+税(ちくま新書)
「「白雪姫」「シンデレラ」「眠り姫」などのプリンセス・ストーリーは、ますます大量に生産され、消費されている。大量に消費されるからその影響力も絶大である。本書では、ディズニーのアニメを題材に、昔話にはどんな意味が隠されているかを読み解く。」(宣伝文より)
●斎藤美奈子 『紅一点論:アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』
  筑摩書房, 2001.9. 328p. ¥780+税(ちくま文庫)
男の子の見るものは軍事と科学の世界、女の子の見るものは恋愛と魔法の世界ということを、分かりやすく説明。最近のプリキュアや戦隊物にも応用可能な視点を与えてくれる。「「ナイチンゲール」は『ナウシカ』である、「キュリー夫人」は『セーラームーン』である、「ヘレン・ケラー」は『もののけ姫』である。」(宣伝文より)
●宮原浩二郎・荻野昌弘編 『マンガの社会学』 
  世界思想社, 2001.11. 284p. ¥1900
部分読み可。「第1章 知的触媒としてのマンガ/ 第2章 マンガとマンガ批評―理論と作品の関係の解体に向けて/ 第3章 分身―少女マンガの中の「もう一人の私」/ 第4章 マンガを社会学する/ 第5章 誰のためのマンガ社会学―マンガ読者論再考/ 第6章 「少女」という読者/ 第7章 マンガのリミット―小林よしのり=『ゴーマニズム宣言』をめぐって」(目次より)
●大塚英志,サカキバラ・ゴウ 『教養としての〈まんが・アニメ〉』
  講談社, 2001.5. 265p. ¥720+税(講談社現代新書)
「手塚治虫、梶原一騎、宮崎・高畑から、ガイナックス、岡崎京子まで/作家たちは、なにと戦ってきたか/飛雄馬がアトムから引き継いだものは?アニメ版トリトン最終回の衝撃とは?/主人公の内面をどう描くか。メディアミックスの先駆者はだれか。戦後の古典、名作をたどり、作家たちの手法を読み解く決定版。」(宣伝文より)
●長岡義幸 『マンガはなぜ規制されるのか:「有害」をめぐる半世紀の攻防』
  平凡社, 2010.11. 262p. ¥780+税 (平凡社新書)
「東京都の青少年条例、児童ポルノ禁止法など、マンガについての規制が強化されつつある。日本独自の表現であり文化であるマンガは、なぜ国や自治体に縛られなければならないのか?規制の仕組み、バッシングの歴史などをわかりやすく記述し、「非実在青少年」問題の深層を解明する。」(宣伝文より)
●藤本由香里 『私の居場所はどこにあるの?:少女マンガが映す心のかたち 』
  朝日新聞社, 2008.6. 461p. ¥945(朝日文庫)
「少女マンガ評論の新境地を拓いた名著、待望の文庫化。1960年代末から90年代末頃までの少女マンガの描写から、女性の恋愛観、セクシュアリティ、家族観、職業観の変化を概観、同時にトランスジェンダーなど性的指向に関する描写の変遷も追う。“居場所”を求めるすべての人必読の書。」(宣伝文より)
●米沢嘉博 『戦後エロマンガ史』
  青林工藝舎, 2010.4. 320p. ¥1890
●米沢嘉博 『戦後ギャグマンガ史』
  筑摩書房, 2009.8. 339p. ¥1050(ちくま文庫)
●米沢嘉博 『戦後SFマンガ史』
  筑摩書房, 2008.8. 393p. ¥945(ちくま文庫)
●米沢嘉博 『戦後少女マンガ史』
  筑摩書房, 2007.8. 393p. ¥924(ちくま文庫)

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3.4 サブカルチャー・オタク文化・ファン研究

*少しだけしかリストしていません(新しいものが不足)。 読みやすい新書判は、次のサイトで探してみましょう。

●ヘンリー・ジェンキンズ(渡部宏樹訳) 『コンヴァージェンス・カルチャー: ファンとメディアがつくる参加型文化』
  晶文社, 2021.2. 556p.
メディア論・ファンダム研究の名著、待望の邦訳! 『サバイバー』、『アメリカン・アイドル』、『マトリックス』、『スター・ウォーズ』、『ハリー・ポッター』…。
●ゾーイ・フラード=ブラナー他(関美和訳) 『ファンダム・レボリューション:SNS時代の新たな熱狂』
  早川書房, 2017.12. 296p.
「初音ミクやスター・ウォーズなど多様な事例をもとに、SNS時代のファンと企業のより良い関係を探る。」
●東園子ほか著 『それぞれのファン研究:I am a fan』
  風塵社, 2007.7. 316p.
さまざまなジャンルのファン研究を並べた論文集。ジャニーズファン、宝塚ファン、格闘技ファン、エロゲーファン、コミケスタッフなど。
●陳 怡禎 『台湾ジャニーズファン研究』
  青弓社, 2014.2. 1991p. ¥2690(青弓社ライブラリー)
「台湾の哈日族などの基礎知識を押さえたうえで、女性ファンへのインタビューからジャニファンの活動やコミュニケーションの具体を明らかにする。ファンがアイドルを介して女性同士の友情や親密圏をどう構築するかをフィールドワークから照らすファン文化論。」(宣伝文より)
●宮本直美 『宝塚ファンの社会学:スターは劇場の外で作られる』
  青弓社, 2011.3. 191p. ¥1728(青弓社ライブラリー)
宝塚歌劇団のファンの社会学的分析。「ファンクラブの組織形態、チケットの確保と配布、統制がとれた拍手、ガードの実際、会服とグッズなどのファンクラブの実情をわかりやすく解説し、ファンの側がファンクラブの活動をどう捉えているかも丁寧に紹介する。」「ファンがスターを作る過程に迫るファン文化論。」(宣伝文より)
●東 浩紀 『動物化するポストモダン:オタクから見た日本社会』
  講談社, 2001.11. 193p. ¥660(講談社現代新書)
もはやゼロ年代の古典と言ってよい。マンガ、アニメ、ゲーム、キャラクターなどオタク系文化を、豊富な具体例を引きつつ、社会学的・哲学的に論じている。【新書判だが、1ページ2ポイントとする】
●東 浩紀 『ゲーム的リアリズムの誕生:動物化するポストモダン2』
  講談社, 2007.3. 339p. ¥800(講談社現代新書)
サブタイトルどおり、2001年の作品の続編。マンガ、アニメ、ライトノベル、ゲームなどを通して現代日本の思想状況を活写した文明論。
●小山友介 『日本デジタルゲーム産業史:ファミコン以前からスマホゲームまで』
  人文書院, 2016.6. 397p. ¥3888
「黎明期から現在まで40年におよぶ、日本におけるデジタルゲーム産業の興亡を描き出した画期的通史。アーケードやPCも含む包括的な記述で、高い資料的価値をもつとともに読み物としても成立させた、ビジネスマン・研究者必読の書。」(宣伝文より)
●宮沢章夫 『NHK ニッポン戦後サブカルチャー史』
  NHK出版, 2014.10. 256p. ¥1944
「大島渚、ラジオの深夜放送、YMO、岡崎京子…。各時代を象徴する表現に共通していたものはいったい何だったのか。戦後70年を10年ごとに区切り、映画・音楽・漫画などジャンルを横断しながら読み解いていく。」(宣伝文より)
●前島 賢 『セカイ系とは何か:ポスト・エヴァのオタク史』
  ソフトバンク・クリエイティブ, 2010.2. 262p. ¥760+税(ソフトバンク新書)
「セカイ系とは、『新世紀エヴァンゲリオン』以後を指し示す言葉に他ならない。アニメ、ゲーム、ライトノベル、批評などなど――日本のサブカルチャーを中心に大きな影響を与えたキーワード「セカイ系」を読み解き、ポスト『エヴァ』の時代=ゼロ年代のオタク史を論じる一冊。」(宣伝文より)“自意識”をキーワードとして『最終兵器彼女』から『涼宮ハルヒの憂鬱』まで広く社会学的に分析している。
●斎藤 環 『関係する女 所有する男』
  講談社, 2009.9. 254p. ¥740+税(講談社現代新書)
著者はラカン派の精神分析医。男女の意識、思考、行為の差異を「関係」、「所有」という2つの原理からみごとに説明。おたく文化、腐女子文化を例にあげて解説している。初学者には読みづらいかもしれないが、最後まで読み通すこと。
●斎藤 環 『戦闘美少女の精神分析』
  筑摩書房, 2006.5. 366p. ¥840(ちくま文庫)
「ナウシカ、セーラームーン、綾波レイ…。日本の漫画、アニメ空間には「戦う少女」のイメージが溢れている。「トラウマ」をもたない可憐で無垢な戦闘美少女の特性と、「おたく」の心的機制を、セクシュアリティの視覚から分析。」(宣伝文より)
●杉浦由美子 『腐女子化する世界:東池袋のオタク女子たち』
  中央公論新社, 2006.10. 205p. ¥720+税(中公新書)
現代日本における腐女子文化を解説。腐女子化を「格差社会の現実からの逃避」あるいは「ライフスタイルを選択できない時代の知恵」ではないかと論じている。
●本田 透 『電波男』
  講談社, 2008.6. 405p. ¥900税込(講談社文庫)
オタク文化、オタク産業の擁護論。扇情的、軽薄な文体で学問的な説得力はないが、 情報化社会を考えるための題材は豊富。単行書は2005年3月。 第1章「恋愛資本主義」の構造と現実/第2章 合言葉は「萌え」〜オタクの「脳内恋愛」宣言/ 第3章「萌え」の力/第4章「萌えオタク」こそ、これからの勝ち組(目次より)
●宮台真司・石原英樹・大塚明子 『増補 サブカルチャー神話解体:少女・音楽・マンガ・性の変容と現在』
  筑摩書房, 2007.2. 553p. ¥1260(ちくま文庫)
サブカルを論ずるための基本文献。おもに1980年代までを論じている。「少女カルチャーや音楽、マンガ、AVなど各種メディアの歴史をたどり、それがどういう若者に受容されたかを分析することで、こうした不透明な状況が生じるまでを明らかにする。社会の大掛かりな変容を描き出した歴史的論考。」(宣伝文より)

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3.5 お笑い

*少しだけしかリストしていません(新しいものが不足)。 読みやすい新書判は、次のサイトで探してみましょう。

●中村計 『笑い神』
  文藝春秋, 2022.11. 382p. ¥1980+税
M-1グランプリ優勝組についてのドキュメンタリー風読み物。笑い飯、千鳥について詳しい。中川家、ますだおかだ、フットボールアワー、アンタッチャブル、ブラックマヨネーズ、チュートリアル、サンドウィッチマン、NON STYLE、パンクブーブー、麒麟、キングコング、スリムクラブなど。
●ラリー遠田 『お笑い世代論:ドリフから霜降り明星まで』
  光文社, 2021.4. 296p. ¥1012(光文社新書)
お笑い評論家が第1世代から第7世代までの芸人と時代を解説。第1世代:いかりや長介、萩本欽一(テレビ芸)、第2世代:ビートたけし、明石家さんま、第3世代:とんねるず、ダウンタウン、第4・5世代:ナインティナイン、ロンドンブーツ1号2号、第6世代:キングコング、オリエンタルラジオ、第7世代:霜降り明星、EXIT(デジタルネイティブ)。
●ラリー遠田 『教養としての平成お笑い史』
  ディスカヴァー・トゥエンティワン, 2019.3. 261p. ¥1100(ディスカヴァー携書)
明石家さんまからピコ太郎まで、時代を映した14組の芸人で平成のお笑いを解き明かす。
●荻上チキ 『社会的な身体:振る舞い・運動・お笑い・ゲーム』
  講談社, 2009.6. 209p. ¥777(講談社現代新書)
“お笑い番組、テレビゲーム、「ニコニコ動画」、映画『ウォーリー』など、興味深いたくさんの例を用いて、人々の振る舞いと社会のしくみがメディアによってどのように変わってゆくのかを論じている。読みやすい第3章、第4章から読むとよいかもしれない。” 【メディアコミュニケーション学科の推薦図書リスト(2010年度)】
●太田省一 『社会は笑う:ボケとツッコミの人間関係』
  青弓社, 2002.4. 214p. ¥1690+税(青弓社ライブラリー)
お笑いの社会学的な分析。「マンザイブーム以降のテレビ的笑いの変遷をたどり、条件反射のように笑いを発しながらも、同時に冷静に評価するという両面性をもったボケとツッコミの応酬状況を考察し、独白であると同時に会話でもある擬似的なコミュニケーションが成立する社会性をさぐる。」(宣伝文より)
●ラリー遠田 『M-1戦国史』
  メディアファクトリー, 2010.10. 205p. ¥777(メディアファクトリー新書)
お笑い評論家が第1回〜第9回を詳細に分析。
●ラサール石井 『笑いの現場:ひょうきん族前夜からM-1まで』
  角川書店, 2008.2. 205p. ¥760+税(角川SSC新書)
コント赤信号のメンバーである著者がお笑いの世界を解説。ビートたけし、明石家さんま、とんねるず、ダウンタウンなど。単行書(徳間書店, 1994)に加筆したもの。
●須田泰成監修 『笑論:ニッポンお笑い進化論』
  バジリコ株式会社, 2008.5. 283p. ¥1500+税

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3.6 その他〜ゲーム・アート・エンタメ・恋愛

*少しだけしかリストしていません(新しいものが不足)。自分で探して下さい。

★中山淳雄 『エンタメビジネス全史:「IP先進国日本」の誕生と構造』
  日経BP,2023.3.301p. ¥1800+税
この1冊で、エンタメビジネスの全体像を見通すことができる。興行、映画、音楽、出版、マンガ、テレビ、アニメ、ゲーム、スポーツの9つの領域に分けて解説。
●北谷賢司 『エンタメの未来2031』
  日経BP,2021.11.272p. ¥1980円(税込)
エンタメ、特にゲーム、アニメ、マンガを中心に取り上げ、ファンの特性に注目して、市場の動向分析、今後の展望を様々な事例やデータをあげて、具体的に論述しており、エンタメビジネスの状況を理解できる。
●中山淳雄 『推しエコノミー:「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』
  日経BP,2021.10.280p. ¥1980円(税込)
米国と日本のエンタメビジネスの動向を展望。取り上げられているジャンルは映画、放送、音楽、スポーツ、演劇。
●多根清史 『教養としてのゲーム史』
  筑摩書房, 2011.8. 222p. ¥740(ちくま新書)
(宣伝文より)「名作」「傑作」とされるゲームはいったいどこがスゴかったのか。新しいゲームジャンルはどのように誕生するのか。──それは、ゲームの歴史を「アイディアの進化史」としてとらえることで見えてくる。
●井上明人 『ゲーミフィケーション:〈ゲーム〉がビジネスを変える』
  NHK出版, 2012.1. 256p. ¥1470税込
(宣伝文より)〈ソーシャル〉は社会を変えた。次は〈ゲーム〉がビジネスを変える番だ――。/ なぜソーシャルゲームはCMで大量に宣伝するほどに莫大な利益を生んでいるのだろうか?/ 〈ゲーム〉を読み解けば、今のビジネスが見えてくる。/ これからのキーワードである「ゲーミフィケーション」を知るための一冊。
●芦崎 治 『ネトゲ廃人』
  リーダーズノート, 2009.5. 224p. ¥1365税込
「ネットゲーマーにしか通じない気持ちがある。「ゲーム依存症」という一言では括れない、独自の世界がある。著者は、19人の「ネトゲ廃人」とともにインターネット・オンラインゲームの光と影を追う。」(宣伝文より)
●桝山 寛 『テレビゲーム文化論:インタラクティブ・メディアのゆくえ』
  講談社, 2001.10. 197+ivp. ¥660+税(講談社現代新書)
●志賀厚雄 『デジタル・メディア・ルネッサンス:バーチャル・ワールドとアートの潮流』
  丸善, 2000.11. 213p. ¥780 (丸善ライブラリー)
文化、芸術を生み出す土壌としてディジタル・メディアをとらえ、米国のミュージアムの動向を中心に、ITとアート、社会のかかわりを論じている。(T)
●大野左紀子 『アーティスト症候群:アートと職人、クリエイターと芸能人』
  河出書房新社, 2011.7. 272p. ¥760(河出文庫)
(宣伝文より)なぜ人はアーティストになりたがるのか。…「誰かに認められたい」欲求によって“一億総アーティスト化”した現在、自己実現とプロの差異とは一体どこにあるのか。美術、芸能、美容…あらゆる業界で増殖する「アーティスト」への違和感を探る。
●北村文・阿部真大 『合コンの社会学』
  光文社, 2007.12. 192p. ¥700(光文社新書)
合コンを社会学的に考察。
●斎藤環・酒井順子 『「性愛」格差論:萌えとモテの間で』
  中央公論新社, 2006.5. 222p. ¥700(中公新書ラクレ)
精神分析医とエッセイストの対談。対談の記録なので読みやすい。
●谷本奈穂 『恋愛の社会学:「遊び」とロマンティック・ラブの変容』
  青弓社, 2008.4. 243p. ¥1600+税(青弓社ライブラリー)
「序章 恋愛の社会的物語―テーマと方法論/ 第1章 恋愛の死と再生―恋愛物語の転回/ 第2章 ロマンティック・ラブ―永遠を誓う真面目な恋愛/ 第3章 遊び―生の未決定性を快楽にする形式/ 第4章 魅力ある異性/ 第5章 アプローチ/ 第6章 別れの理由/ 終章 恋愛という遊び」(目次より)

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4. 社会学/情報学/メディア論を学ぶための入門書・専門書

*以下にリストしたものはごく一部です。たくさんありますので自分で探して下さい。

4.1 社会学

●吉川徹 『日本の分断:切り離される非大卒若者たち』
  光文社, 2018.4. 262p. ¥860+税(光文社新書)
信頼性の高い大規模な社会調査のデータに基づいた「明日の日本の姿」。「岐路に立つ日本に本書の問いかけは非常に重く響く。」(宣伝文) 社会調査の結果をどのように分析すべきなのか、とても良い実例にもなっている。
●筒井淳也 『社会を知るためには』
  筑摩書房, 2020.9. 221p. ¥840+税(ちくまプリマ―新書)
社会学とはどのような学問であるかと、社会とはどのような存在であるかを、初学者向けに丁寧に説明している。初学者向けとはいえ、説明している概念は大学レベル。さらに学ぶための文献も豊富に紹介。
●橋爪大三郎 『ふしぎな社会学』
  筑摩書房, 2021.3. 221p. ¥800+税(ちくま文庫)
社会学の基本的な概念16項目を中高生向けに平易に解説しており、気軽に読める。大学生にとっても、社会学の研究範囲が展望できる。言語、戦争、憲法、貨幣、資本主義、私有財産、性、家族、結婚、正義、自由、死、宗教、職業、奴隷制とカースト、幸福。
★NHK放送文化研究所編 『現代日本人の意識構造』第9版
  NHK出版,2020.2.228,42p.1500円+税
1973年から5年ごとに行われている大規模調査の最新結果(2018年)をもとに、 日本社会の経年的な変化をまとめたもの。 家族観、政治意識、メディア利用、仕事や日常生活など、幅広いテーマが取り上げ られており、社会の変容を具体的に確認することができる。
●小熊英二 『日本社会のしくみ:雇用・教育・福祉の歴史社会学』
  講談社, 2019.7. 608p. ¥1430+税(講談社現代新書)
「日本を支配する社会の慣習。データと歴史が浮き彫りにする社会の姿!!「この国のかたち」はいかにして生まれたか。“日本の働き方”成立の歴史的経緯とその是非を問う。」(宣伝文)
★見田宗介 『現代社会はどこに向かうか:高原の見晴らしを切り開くこと』
  岩波書店, 2018.6. 162p. ¥760(岩波新書)
いまが人類史の曲がり角であることを丁寧に分析。日本、ヨーロッパ、アメリカの青年の意識変化をデータで論証。
★岩本茂樹 『自分を知るための社会学入門』
  中央公論社, 2015.4. 230p. ¥1500+税
読みやすい文体で、とてもわかりやすい事例をあげながら、幅広く社会学の理論を取り上げている。多くの事例が著者の若いころの体験にもとづいており、興味深く読める。取り上げられている社会学者は、ヴェーバー、マートン、ミード、ゴッフマン、さらにレヴィ=ストロース、フーコーなど。
★今井芳昭 『影響力:その効果と威力』
  光文社, 2010.4. 278p. ¥820(光文社新書)
社会心理学の知見に基づき、影響力のさまざまな類型(専門影響力、参照影響力、魅力影響力、対人関係影響力、共感喚起影響力など)を分かりやすく説明し、さらに影響力を巡る社会的現象(漏れ聞き効果、社会的手抜き、行動感染、集団極性化現象、集団的浅慮など)を解説。メディアが個人と社会へ与える影響力を考えるための基礎知識として一読を薦める。
●浅野智彦編 『考える力が身につく社会学入門』
  中経出版, 2010.2. 271p. ¥1429+税
初学者向けのやさしい社会学入門。読みやすい文体で、しっかりと社会学の基本概念が説明されている。
●浅野智彦 『図解 社会学のことが面白いほどわかる本:本当のことがホントにわかる!』
  中経出版, 2002.5. 299p. ¥1400
初学者向けのやさしい社会学入門。『考える力が身につく社会学入門』(2010年)と一部内容が重複しているが、両方とも読むと理解が深まってよい。
●見田宗介 『社会学入門:人間と社会の未来』
  岩波書店, 2006.4. 215p. ¥819(岩波新書)
著者は元東大教授の社会学者。「“人間のつくる社会は、千年という単位の、巨きな曲り角にさしかかっている”―転換の時代にあって、世界の果て、歴史の果てから「現代社会」の絶望の深さと希望の巨大さとを共に見晴るかす視界は、透徹した理論によって一気にきりひらかれる。初めて関心をもつ若い人にむけて、社会学の「魂」と理論の骨格を語る、基本テキスト。」(宣伝文より)
●見田宗介 『現代社会の理論:情報化・消費化社会の現在と未来』
  岩波書店, 1996.10. 188p. ¥631(岩波新書)
社会の「情報化」、「消費化」とは何かを、理論社会学の立場から論じ、情報化・消費化社会を資本主義システムの極限である「純粋資本主義」として描き出している。 統計的なデータは多少古いが、社会学を学ぶ学生全員が一度は読むべき名著。
●内田隆三 『社会学を学ぶ』
  筑摩書房, 2005.4. 237p. ¥720(ちくま新書)
著者は東大教授の社会学者。自らの思想遍歴を語りつつ、社会学の古典的理論を解説している。これも社会学を学ぶ学生全員が一度は読むべき名著。
●宮台真司 『14歳からの社会学:これからの社会を生きる君に』
  筑摩書房, 2013.1. 309p. ¥714(ちくま文庫)
“14歳からとあるが、中学生にはむずかしく、大学生にも薦めたい深さのある内容。自分と他人、愛と性、仕事と生きがい、死ぬことなどについて、メディアを学ぶために役に立つ、社会学的なものの見方、考え方に触れられる。” 【メディアコミュニケーション学科の推薦図書リスト(2009年度)】
●宮台真司・鈴木弘輝編 『21世紀の現実[リアリティ]:社会学の挑戦』
  ミネルヴァ書房, 2004.5. 264p. ¥1400
部分読み可。「第1部 「大人/若者/子ども」のゆるやかな境界(ポピュラー文化の危機―ジャニーズ・ファンは“遊べているのか”/ 友達母娘のなにがわるい?―「家族の中の若者」という視点/ 「ゆとり」に惑わされる生徒たち―社会システム理論からみる学校教育の現状/ 第2部 社会関係を通じて構築される「私」(「人」を愛するとはどのようなことなのか?―「愛」の社会的機能/ 思い出をつくる若者たち―現代的自己の記憶論的アプローチ/ 第3部 国家からの自由/国家が基礎づける自由(韓日マンガシステム比較―週刊マンガ雑誌と、作家たちの世代論/ その先のインターネット社会―アーキテクチャを支える思想へ/ 社会学からの全体性の脱落に抗して、いま何が必要なのか」(目次より)
●佐藤健二・吉見俊哉編 『文化の社会学』
  有斐閣, 2007.3. 268p. ¥1890(有斐閣アルマ)
第8章のみの部分読みでもよい。 「第1章 文化へのまなざし/第2章 意味の結び目をほどく/つなぎ直す /第3章 住居/第4章 ファッション/第5章 音楽/第6章 テレビCM /第7章 マンガ同人誌/第8章 ネット文化/第9章 風景」(目次より)
●吉見俊哉 『メディア時代の文化社会学』
  新曜社, 1994.12. 330p. ¥2800
序章、終章を含めて8章構成。「I章〜IV章」のように部分的に読んでもよい。
●吉見俊哉 『リアリティ・トランジット:情報消費社会の現在』
  紀伊國屋書店, 1996.2. 267p. ¥2136
12編の論文・論考が収録されている。「遊園地のユートピア」「ディズニーランド化する都市」「テレフォンのある風景」など部分的に読んでもよい。オウム事件にかかわる論考も収録。
●吉見俊哉ほか著 『メディア空間の変容と多文化社会』
  青弓社, 1999.12. 214p. ¥1600
講演記録をもとにした論文集。第2章「電子メディアの共同体」(大澤真幸著)のみの部分読でも価値あり。
●宮台真司・鈴木弘輝編 『21世紀の現実[リアリティ]:社会学の挑戦』
  新曜社, 2004.5. 264p. ¥2600
部分読みでもOK。「ポピュラー文化の危機/友達母娘のなにがわるい?/「ゆとり」に惑わされる生徒たち/「人」を愛するとはどのようなことなのか/思い出をつくる若者たち/韓日マンガシステム比較/その先のインターネット社会」(目次より)
●井上俊ほか編 『メディアと情報化の社会学』
  岩波書店, 1996.4. 256p. ¥2039(岩波講座 現代社会学)
11編の論文が収録されているので、ばらで読んでもよい。 メディア変容の地層、マス・メディアと生活世界、ネットワーク社会の行方の三部構成。
●ベネディクト・アンダーソン(白石さや・白石隆訳) 『定本・想像の共同体:ナショナリズムの起源』
  書籍工房早山, 2007.7. 396p.¥2100(社会科学の冒険 2-4)
社会学の古典となった名著。構造主義的マルクス主義の立場からナショナリズムの起源をていねいに解明している。新聞、小説、地図などのメディアの影響力が論じられている。読解のためには、高校の世界史程度の近現代史の知識は不可欠。

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4.2 情報学

●ジェイムズ・グリック著, 楡井浩一訳 『インフォメーション:情報技術の人類史』
  新潮社,2013.1. 532p. ¥3200
「トーキング・ドラムからコンピュータまで、「情報」を操るあらゆる試みを見つめ直し、世界の本質を問い直す―壮大なスケールで描かれた、まったく新しい文明史。」(宣伝文から) 英国王立協会ウィントン科学図書賞(2012年)、PEN/E・O・ウィルソン科学文芸賞(2012年)受賞。
●根本 彰 編 『図書館情報学基礎』
  東京大学出版,2013.5. 267p. ¥3200
海野が第1章「知識と図書館情報学」、第2章「メディアと知識資源」の執筆を担当。この部分だけ読んでもよい。
●西垣 通 『生命と機械をつなぐ知:基礎情報学入門』
  高陵社書店,2012.3. 213p. ¥1600
高校の情報化の教科書として書かれたものだが、大学生が読むのにちょうどよい難しさ。
●西垣 通 『続 基礎情報学:「生命的組織」のために』
  NTT出版,2008.12. 219p. ¥2500
「本書は情報学についての入門書でも概説書でもない。既存の情報科学や情報工学、メディア論、コミュニケーション論などとは異なる観点から、情報/メディア/コミュニケーションというものをラディカルにとらえ直すことが、本書のねらいである。」(「序に変えて」より)
●西垣 通 『基礎情報学:生命から社会へ』
  NTT出版,2004.2. 235p. ¥2500
「本書は情報学についての入門書でも概説書でもない。既存の情報科学や情報工学、メディア論、コミュニケーション論などとは異なる観点から、情報/メディア/コミュニケーションというものをラディカルにとらえ直すことが、本書のねらいである。」(「序に変えて」より)
●西垣 通 『情報学的転回:IT社会のゆくえ』
  春秋社,2005.12. 247p. ¥1890
語り下ろしなので話しが拡散しがちだが、入門書として読みやすい。
●西垣 通 『こころの情報学』
  筑摩書房,1999.6. 236p. ¥660(ちくま新書)
アフォーダンスやオートポイエーシスなど、新しい科学を援用して「こころ」とは何かに迫る。
●西垣 通 『デジタル・ナルシス:情報科学パイオニアたちの欲望』
  岩波書店,1997.1. 264p. ¥1000(同時代ライブラリー)
情報化社会の基底に横たわる問題点を指摘している。ノイマン、シャノン、ウィーナーなどの人物伝としてもとても面白い。
●公文俊平 『情報社会学序説:ラストモダンの時代を生きる』
  NTT出版, 2004.10. 359p. ¥2100
著者は社会システム論、情報・メディア・コミュニケーション研究の第一人者。
●公文俊平 『文明の進化と情報化:IT革命の世界史的意味』
  NTT出版, 2001.3. 256p. ¥2300
『情報文明論』の続編。「情報化」は近代文明の最終局面であり、「新」文明への第一歩であると論証する。
●公文俊平 『情報文明論』
  NTT出版, 1994.4. 503p. ¥5340
この本1冊で1000ポイントを超えます。
●正村俊之 『情報空間論』
  勁草書房,2000.3. 339(+18)p. ¥4800
●村田晴夫 『情報とシステムの哲学:現代批判の視点』
  文眞堂,1990.4. 227(+10)p. ¥3200
●海野敏, 影浦峡, 戸田愼一 『学術情報と図書館』
  雄山閣,1999.11. 243p. ¥????(講座 図書館の理論と実際 9)
学術情報(科学情報)の生産から流通までを、ネットワーク社会を視野におさめつつ丁寧に論じている。初学者のための入門書。
●ブライアン・ヴィッカリー他(津田良成、上田修一監訳) 『情報学の理論と実際』
  勁草書房,1995.11. 540p. ¥???? ¥8500

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4.3 メディア論

*ここでいう「メディア」はマスメディアではありません。肉声、手紙、電話、インターネットなどを含んだ情報メディア(コミュニケーションメディア)全般についての研究領域です。

*少しだけしかリストしていません(新しいものが不足)。 読みやすい新書判は、次のサイトで探してみましょう。

●佐藤卓己 『流言のメディア史』
  岩波書店, 2019.3. 299p. 900円+税(岩波新書)
「マスメディアの責任をただ追及していればよかった安楽な「読み」の時代はすでに終わり、一人ひとりが情報発信の責任を引き受ける「読み書き」の時代となっている。「ポスト真実」の時代のメディア・リテラシーとは?」(宣伝文)
●吉見俊哉 『メディア文化論:メディアを学ぶ人のための15話 改訂版』
  有斐閣, 2012.12, 285p. ¥1800円+税(有斐閣アルマ)
(目次より)第1話 メディアとは何か、、第2話 メディアの時代・メディアの理論、第3話 新聞学というメディアの知、第4話 マス・コミュニケーション理論の展開とその限界、第5話 メディア革命と知覚の近代、第6話 カルチュラル・スタディーズの介入、第7話 新聞と近代ジャーナリズム、第8話 電話が誕生したのはいつだったのか、第9話 誰が映画を誕生させたのか、第10話 ラジオ・マニアたちの社交圏、第11話 テレビが家にやって来た、第12話 ケータイが変える都市の風景、第13話 パソコンとネットワーク化する市民社会、第14話 グローバル・メディアとは何か、第15話 メディアを変革するための知
★橋元良明 『メディアと日本人:変わりゆく日常』
  岩波書店, 2011.3. 195+12p. ¥760+税(岩波新書)
「テレビ、ラジオ、新聞、インターネット、書籍・雑誌、携帯電話――。日本人によるメディア受容の歴史と利用実態、さらにはメディア界の構造転換を、実証的に明らかにする。「テレビ離れ」「読書離れ」は本当か? ケータイ、ネットが若者のメンタリティーに与えた影響は? 日米のメディア研究の動向も紹介した、メディア論の決定版!」(宣伝文より)
●有馬哲夫 『世界のしくみが見える「メディア論」:有馬哲夫教授の早大講義録』
  宝島社, 2007.10. 222p. ¥720(宝島社新書)
マクルーハン理論の入門書として、たいへん読みやすい。内容構成は次のとおり。1.メディア研究とは何か、2.コンテンツではなくメディアが決定する、3.メディアとコンテンツの相互作用、4.メディアが受け手のモードを転換する、5.グローバル・ヴィレッジ、6.電気メディアはどんな現代人を作り出したか、7.IT革命がもたらす内爆発、8.メディア・デバイド。
●宮澤淳一 『マクルーハンの光景 メディア論がみえる』
  みすず書房, 2008.2. 164p. ¥1600+税
「メディア論の「元祖」とされるマーシャル・マクルーハン。難解とされるそのテキストを取り上げ、読み解き方を解説。また、彼の生涯と主な著作を概観し、「地球村」の概念を再検討する。」(宣伝文より)
●大澤真幸 『電子メディア論:身体のメディア的変容』
  新曜社, 1995.6. 352p. ¥2900
かなり歯ごたえあり。社会学的、哲学的な基礎知識がないと読みこなすのがむずかしい部分もあるが、知的刺激に富んだ名著。
●フリードリヒ・キットラー(石光泰夫・石光輝子訳) 『グラモフォン・フィルム・タイプライター』
  筑摩書房, 2006.12. 331p.+365p. 上¥1365+下\1365(ちくま学芸文庫)
難解な名著。名付けるならばポスト構造主義的メディア論か。ラカンの精神分析とフーコーの哲学を出発点として、1900年前後のメディア史的な大転回をきわめて該博な知識で解き明かしてゆく。読解には文学史、音楽史、映画史、技術史の知識が要求される。
●ジョシュア・メイロウィッツ(安川一・高山啓子・上谷香陽訳) 『場所感の喪失(上):電子メディアが社会的行動に及ぼす影響』
  新曜社, 2003.8. 414p.
宣伝文より「電子メディアは現代人の行動をいかに変えたか? いまなお我々の感覚・思考・行動を激変させつつある電子メディア。その変容をゴフマンのエンカウンター理論、マクルーハンのメディア論と結びつけて鮮やかに分析する。」
●マーシャル・マクルーハン(栗原裕・河本仲聖訳) 『メディア論』
  みすず書房, 1987.6. 381p.
メディア論の先駆的著作。メディア論の古典中の古典。韜晦(とうかい)した文体で消化しにくいが、一読の価値あり。
●マーシャル・マクルーハン、クエンティン フィオーレ(南博訳) 『メディアはマッサージである』
  河出書房新社, 1995.11. 177p. ¥2136
●ポール レヴィンソン他(服部桂訳) 『デジタル・マクルーハン:情報の千年紀へ』
  NTT出版, 2000.3. 365p. ¥3600
●デヴィッド・ボルター(黒崎政男ほか訳) 『ライティングスペース:電子テキスト時代のエクリチュール』
  産業図書, 1994. 6. 452p. ¥6500
●服部桂 『メディアの予言者:マクルーハン再発見』
  廣済堂出版, 2001.5. 237p. ¥1000(廣済堂ライブラリー)
マーシャル・マクルーハンの著作をインターネットの現代社会から読み解く入門書(T)
●月尾嘉男等編 『原典メディア環境:1851-2000』
  東京大学出版会, 2001.4. 723p. ¥10000
現代のメディア環境はどのように形成されたのか。バベッジの「階差機関」からWebブラウザまで、メディアの技術、政策、制度、文化、産業、郵便、通信、放送にかかわる日本、欧米の論文、エッセイ、報告書、条約等の資料を年代順に150点収録している。部分読みが可能。

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4.4 その他

★ハンス・ロスリング他(上杉周作・関美和訳)『ファクトフルネス:10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』
  日経BP社, 2019.1. 397p. ¥1800
スウェーデンの医師が書いた世界的なベストセラー。豊富なデータ、分かり易いグラフによって、世界の変化を正しく理解することができる。世界には大きな問題とリスクがあるが、それでも良くなっていることを気づかせてくれる。説得のために用いている彼の個人的なエピソードもたいへん面白い。
●河合雅司 『未来の年表2:人口減少日本であなたに起きること』
  講談社, 2018.5. 238p. ¥840 (講談社現代新書)
★河合雅司 『未来の年表:人口減少日本でこれから起きること』
  講談社, 2017.6. 208p. ¥821 (講談社現代新書)
「日本が人口減少社会にあることは「常識」。だが、その実態を正確に知る人はどのくらいいるだろうか? 人口減少に関する日々の変化というのは、極めてわずか。ゆえに人々を無関心にする。だが、それこそがこの問題の真の危機、「静かなる有事」である。」(宣伝文より)
●古市憲寿 『絶望の国の幸福な若者たち』
  講談社, 2011.9. 301p. ¥1800
論壇で話題になった若手社会学者の著作。日本の先行きが暗いのに、若者の幸福度は最近40年間で一番高いのはなぜかを論じている。軽い文体で、学術書としては読みにくくないはず。

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5. ネットワーク社会・情報化社会を考えるための小説(フィクション)

*このカテゴリはいくらでもあると思いますが、あまりリストされていません。みなさんからの推薦をお待ちしています!

5.1 SF小説

【日本人作家によるSF】
★安野貴博 『サーキット・スイッチャー』
  早川書房, 2022.1. 285p. ¥1870
第9回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作。自動運転車が実用化した2029年を舞台としたSF、ミステリー小説。ストーリーのけん引力が強くて面白く、かつ人工知能の倫理的な課題をスリリングに描いている。
●山之口洋 『SIP超知能警察』
  双葉社, 2021.10. 357p. ¥1700+税
近未来ハイテク警察小説。2029年の日本を舞台として、警察・防衛省と犯罪者の、人工知能を駆使した攻防を描いたミステリー。著者は直木賞候補作家で、東洋大学、明治大学の教員。
★平野啓一郎 『本心』
  講談社, 2021.5. 449p. ¥1800+税
芥川賞作家が描く近未来小説。格差社会がいっそう進み、自由死が合法化された日本。ヴァーチャル・フィギュア、リアル・アバター、アバター・デザイナー、ドローンによるテロなど、5年後には現実になっていそうな未来がリアルに描かれている。
●竹田人造 『AI法廷のハッカー弁護士』
  早川書房, 2022.5. 320p. ¥2310
(宣伝文より)「もしも、AIが裁判の判決を下すようになったら?」「AIの穴をついて勝訴を手にするハッカー弁護士の顔も持つ悪徳漢。その正体は誰にも気付かれてはならなかったが、ある事件で偶然にも依頼人に知られてしまい……? この国の正義をめぐるAI法廷ミステリ連作集!」
●竹田人造 『人工知能で10億円ゲットする完全犯罪マニュアル』
  早川書房, 2021.6. 398p. ¥980+税
第8回ハヤカワSFコンテスト優秀賞。「首都圏ビッグデータ保安システムが導入された近未来。AI技術者の三ノ瀬と映画マニアの五嶋が、自動運転現金輸送車の誘拐に挑む。」
●野アまど 『タイタン』
  講談社, 2020.4. 377p. ¥1800+税
舞台は2205年。AI(人工知能)のおかげで人類が働く必要のなくなった時代。来るべきシンギュラリティを具体的に詳しくイメージした描写がたいへん興味深い。小説としてのテーマは、仕事とは何か。
★野アまど 『know』
  早川書房, 2013.7. 354p. ¥720+税 (ハヤカワ文庫)
舞台は2018年の京都。フェムトテクノロジーによる情報材の発明と大脳への電子葉の移植の義務化により、社会と個人が一変した近未来。14歳の美少女が世界を変える物語。シンギュラリティとポストヒューマンのおとぎ話。
●人工知能学会編 『人工知能の見る夢は:AIショートショート集』
  文藝春秋, 2017.5. 318p. ¥740+税 (文春文庫)
「日本を代表するSF作家たちが人工知能を題材にショートショートを競作し、それを8つのテーマ別に編集、テーマごとに第一線の研究者たちが解説を執筆した画期的コラボ企画。」(宣伝文より)
●伊藤計劃 『虐殺器官』新版
  早川書房, 2014.8. 428p. ¥778+税 (ハヤカワ文庫JA)
日本SF大賞受賞。「9・11以降の“テロとの戦い"は転機を迎えていた 先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、 後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。」「大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官"とは? 現代の罪と罰を描破する、ゼロ年代最高のフィクション。」(宣伝文より)
●伊藤計劃 『ハーモニー』新版
  早川書房, 2014.8. 398p. ¥778+税 (ハヤカワ文庫JA)
日本SF大賞受賞。核戦争後の地球、体内に埋め込まれたナノマシンが、コンピュータネットワークを介して人々の健康を監視する時代を壮大な構想で描いたフィクション。『虐殺器官』の続編にも位置付けられる。「死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰に、 ただひとり死んだはすの少女の影を見る―― 『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。」(宣伝文より)
●野尻抱介 『南極点のピアピア動画』
  早川書房, 2012.2. 311p. ¥720+税 (ハヤカワ文庫)
ニコニコ動画と初音ミクが"ピアピア動画"と"小隅レイ"になって登場する明るい近未来SF。軌道エレベータ、カーボンナノチューブ、ベイジアンネットワーク、分子アセンブラなどの先端テクノロジーが登場。
●冲方 丁 『マルドゥック・スクランブル』全3巻
  早川書房, 2010.10. 293+324+316p. ¥700×3冊(ハヤカワ文庫)
第24回日本SF大賞を受賞したサイバーパンク。「賭博師シェルの奸計により少女娼婦バロットは爆炎にのまれた。 瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にして万能兵器のネズミ、ウフコックだった。…」(宣伝文より)
●西垣通 『サイバーペット/ウェブ生命情報論』
  千倉書房,2008.3. ???. ¥2940
半分が小説、半分が学術書という変わった編集の本。小説「サイバーペット」だけ読んでもよい。
●瀬名秀明 『エヴリブレス』
  TOKYO FM出版, 2008.3. 313p. ¥1600+税
「仮想と現実の境界が曖昧になった未来、人間の「想い」はどこにいくのか? もうひとつの世界で、永遠に終わらない恋が始まった。ピュアでリアルな、サイエンス・ラヴ・ストーリー。」(宣伝文より)
●服部真澄 『エクサバイト』
  角川書店, 2008.2. 381p.(=191point) ¥1785(ハヤカワ文庫JA)
生まれてから死ぬまでの一生分の体験をデータとして記録してしまうという話だが、 すでに技術的には十分に実現可能である。このフィクションの想像力から得るものは少なくない。
●林 譲治 『記憶汚染』
  早川書房, 2003.10. 392p. ¥756(ハヤカワ文庫JA)
「破滅的な原発テロの教訓から、携帯情報端末による厳格な個人認証が課された近未来日本社会。」(宣伝文より)
●井上夢人 『パワー・オフ』
  集英社, 1999.7. 601p. ¥800(集英社文庫)
コンピュータウイルスと人工生命をテーマとしたSF。まだインターネットが普及する前に、パソコン通信を舞台にして書かれたものだが、十分に「今」を感じさせる。ウイルスがどんどん進化してゆく様子が興味深い。2003.7.19(U)
●柾悟郎 『ヴィーナス・シティ』
  早川書房, 1992.11. 364p. ¥563(ハヤカワ文庫)
日本でインターネットが普及する数年前に、ネットワーク上のヴァーチャルリアリティの世界を描いている。
●岡嶋二人 『クラインの壷』
  新潮社, 1993.1. 412p. ¥590(新潮文庫)
ヴァーチャルリアリティを応用したコンピュータゲームをめぐるSFミステリ。仮想現実が現実を侵食する様子が見事。
●筒井康隆 『朝のガスパール』
  新潮社, 1995.7. 331p. ¥552(新潮文庫)
パソコン通信の書き込みをインタラクティヴに利用して連載執筆された、おそらく最初の小説。

【翻訳SF】
●劉慈欣(大森望他訳) 『流浪地球』
  KADOKAWA, 2022.9. 309p. ¥2000+税
面白さを保証する。
●劉慈欣(大森望他訳) 『老神介護』
  KADOKAWA, 2022.9. 289p. ¥2000+税
面白さを保証する。
●イアン・マキューアン(村松潔訳) 『恋するアダム』
  早川書房, 2021.1. 399p. ¥2750(新潮クレスト・ブックス)
冴えない男と秘密を抱えた美女の間に割り込むアンドロイド。奇妙な三角関係のゆくえは? 人工知能時代の生命倫理を描く意欲作!(宣伝文より)
★カズオ・イシグロ(土屋政雄訳) 『クララとお日さま』
  早川書房, 2019.7. 447p. ¥2750
2017年にノーベル文学賞を受賞した長崎出身、在英の作家のベストセラー小説。病弱の少女と友達として少女を世話するAIロボットの物語。感情を持つAI、機械と人間の関係、階級社会、社会格差、環境問題など、現代性の強いトピックが織り込まれている。
●劉慈欣(大森望他訳) 『三体』
  早川書房, 2019.7. 447p. ¥1900
世界的なベストセラーとなった中国人作家の本格SF。壮大な構想のもと、最先端の科学知識で描くSFミステリー。アジア人作家として初めて、SF最高の賞であるヒューゴー賞を受賞している。続編を読まずとも大いに楽しめる。
●劉慈欣(大森望他訳) 『三体U 黒暗森林』上・下
  早川書房, 2020.6. 335+348p. ¥1700+1700
『三体』の続編で、上巻と下巻に分かれている。ますます物語の構想は広がり、人類の驚くべき未来が描かれる。数百年後の地球社会が詳細に描写され、宇宙戦艦が登場し、超強大な敵が接近する。
●劉慈欣(大森望他訳) 『三体V 死神永生』上・下
  早川書房, 2021.5. 430+445p. ¥1900+1900
『三体』3部作、遂に完結。上巻と下巻に分かれている。驚くべきことに、物語の構想はさらに広がり、上巻では人類が滅亡の危機に瀕し、下巻では宇宙の起源の謎に到達する。圧巻の超大作。
●王力維(金谷譲訳) 『セレモニー』
  藤原書店, 2019.5. 441p. ¥2800
中国人作家によるSF小説。中国を舞台として、インフルエンザ・ウイルスの突然変異体によるパンデミックの予防を背景に、繰り広げられる権力闘争。IoT(モノのインターネット)ならぬIoS(靴のインターネット)による監視システムや、超小型ドローンを使った暗殺計画など面白い。
★デイヴ・エガーズ(吉田恭子訳) 『ザ・サークル』
  早川書房, 2014.12. 526p. ¥2376
Google、Apple、Facebook、Twitterなどが一体化したようなソーシャルメディアと、最新のテクノロジーが社会を変えてゆく近未来ディストピア小説。米国でベストセラーとなり、エマ・ワトソン、トム・ハンクス主演で映画化。SF小説を読み慣れない人も、我慢して150ページ読めばやめられなくなります。
●ジョージ・オーウェル(高橋和久訳) 『一九八四年[新訳版]』
  早川書房, 2009.7. 512p.(=256point) \903(ハヤカワepi文庫)
社会学、情報学、メディア論などで頻繁に参照される必読フィクション。ディストピアを描いた古典的SF。原書は1949年に刊行された。「〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。しかし彼は、以前より完璧な屈従を強いる体制に不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと出会ったことを契機に……。」(宣伝文より)
●グレッグ・イーガン 『ディアスポラ』
  早川書房, 2005. 520p. ¥900+税(ハヤカワ文庫)
「30世紀、人類のほとんどは肉体を捨て、人格や記憶をソフトウェア化して、ポリスと呼ばれるコンピュータ内の仮想現実都市で暮らしていた。ごく少数の人間だけが、ソフトウェア化を拒み、肉体人として地球上で暮らしている。」(宣伝文より)
●グレッグ・イーガン 『順列都市』
  早川書房, 1999. 上282+下285p. ¥620+620+税(ハヤカワ文庫)
「記憶や人格などの情報をコンピュータに“ダウンロード”することが可能となった21世紀なかば、ソフトウェア化された意識、“コピー”になった富豪たちは、コンピュータが止まらないかぎり死なない存在として、世界を支配していた。」(宣伝文より)
●ダニエル・F・ガロイ 『模造世界』
  早川書房, 2000. 328p. ¥580+税(ハヤカワ文庫)
「電子的な仮想社会を創造し、そこに仮想人物たちを住まわせる、画期的な社会環境シミュレーターが計画された。だが、その完成を目前に開発者が死亡する。」(宣伝文より) 原著は1964年刊行。映画『13F』の原作。
●ロバート・J・ソウヤー 『ターミナル・エクスペリメント』
  早川書房, 1997. 471p. ¥920+税(ハヤカワ文庫)
「医学博士のホブスンは、死にかけた老女の脳波の測定中に、人間の「魂」とおぼしき小さな電気フィールドが脳から抜け出てゆくのを発見した。魂の正体を探りたいホブスンは自分の脳をスキャンし、自らの精神の複製を三通り、コンピュータの中に作りだした。」(宣伝文より)
●ジェフ・ライマン 『エア』
  早川書房, 2008.5. 475p. ¥2400+税
「個々人の脳から直接ネットにアクセスするネットワーク・システム「エア」。そのテスト中に事故死した隣人、タンおばあさんと交感し、彼女の全人生を体験したメイ。それ以降、おばあさんの意識がメイの中に住みついてしまい…。」(宣伝文より)
●ウィリアム・ギブソン(黒丸尚訳) 『ニューロマンサー』
  早川書房,1986.7. 451p.(=226point) ¥1008(ハヤカワ文庫SF)
サイバーパンク・ブームのきっかけとなった作品。ハードSFなので、SF小説を読み馴れていない人には読みにくいかも。
●ウィリアム・ギブソン(黒丸尚訳) 『カウント・ゼロ』
  早川書房,1987.9. 465p. ¥660(ハヤカワ文庫)
『ニューロマンサー』の続編。
●ウィリアム・ギブソン(浅倉久志ほか訳) 『クローム襲撃』
  早川書房,1987.5. 334p. ¥544(ハヤカワ文庫)
●ブルース・スターリング(小川隆訳) 『ネットの中の島々』上・下
  早川書房, 1990.11. 337+362p. ¥544+¥544(ハヤカワ文庫)
●ニール・スティーブンソン(日暮雅通訳) 『スノウ・クラッシュ』上・下
  早川書房, 2001.4. 389+395p. ¥740+¥740(ハヤカワ文庫)
ポスト・サイバーパンクと評された1990年代のハードSF。「メタヴァース」と呼ばれる仮想世界と、近未来の現実世界との両方で、暴力的かつスピーディーなアクションドラマが展開する。2003.8.28(U)

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5.2 その他のフィクション


【情報社会・情報技術】
★平野啓一郎 『ドーン』
  講談社, 2012.5. 653p. ¥876+税(講談社文庫)
芥川賞作家が描く壮大な構想の近未来小説。2036年のアメリカ大統領選挙を舞台にして、人類初の有人火星探査に成功した主人公たちが苦悩し、成長する物語。顔認証で誰もが検索できる監視ネットワーク、それに対抗する変装可能な整形手術、無領土国家の登場、三次元映像による死者のAR化など、圧巻の想像力である。大統領選挙における共和党と民主党の激しいメディア戦も、実にリアルで面白い。
●中島文則 『R帝国』
  中央公論新社, 2020.5. 381p. ¥720+税(中公文庫)
芥川賞作家が描く近未来のディストピアSF小説。"ヒューマン・フォン"と呼ばれる意思を持ったAI搭載スマホが普及した世界で、戦争が始まる。
●早坂吝 『探偵AIのリアル・ディープラーニング』
  新潮社,2018.6. 364p. ¥630+税(新潮社文庫)
SF設定の推理小説。スマホに搭載された人工知能が成長しながら謎を解く。フレーム問題、シンボルグラウンディング問題、不気味の谷、中国語の部屋という人工知能の基本的なタームが見出しになっている。
●早坂吝 『犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー:探偵AI 2』
  新潮社,2019.8. 257p. ¥630+税(新潮社文庫)
●浜口倫太郎 『AI崩壊』
  講談社,2019.11. 300p. ¥650+税(講談社文庫)
映画『AI崩壊』(脚本:入江悠)の小説版として著者が書き下ろし。
●竹内謙礼 『検索刑事』
  日本経済新聞出版社,2016.11. 265p. ¥800+税(日経ビジネス人文庫)
「IT会社社長が殺された事件を捜査中、警察に一通の脅迫文が届く。」「本書はストーリーをたどることで、検索エンジン対策を行う心構え、SEO対策を手伝う業者との付き合い方も学べます。」(宣伝文より)
●奥田亜希子 『五つ星をつけてよ』
  新潮社,2016.10. 215p. ¥1600+税
「ブログ、SNS、写真共有サイト。手のひらサイズのインターネットで知らず知らずに伸び縮みする、心と心の距離に翻弄される人々を活写した連作集。」(宣伝文より)
●楡周平 『クラッシュ』
  角川書店, 2009.1. 715p. ¥895+税(角川文庫)
コンピュータウイルスが世界を混乱に陥れるミステリ。犯人が最初から分かっている「倒叙」スタイル。航空機の操縦や、産業界にパニックが広がる過程の描写がたいへん緻密。単行本は、日本でインターネットが普及し始めて数年経った1998年の刊行。
●伊坂幸太郎 『モダンタイムス』
  講談社, 2008.10. 540p. ¥1700+税
人気作家がインターネットのサーチエンジンをモチーフにして書いた長編ミステリ。キャッチコピーが「検索から始まる監視」。物語は、「システムとしての国家」の話しへと広がってゆく。
●村上龍 『希望の国のエクソダス』
  文藝春秋, 2002.5. 452p. ¥1500(文春文庫)
一斉に不登校を始めた日本の中学生たちがネットビジネスを展開し、世界経済に影響を与える物語。単行本は2000年刊行。

【ジャーナリズム・事件報道】
●山崎豊子 『運命の人(全4巻)』
  文藝春秋, 2010.12. 288+288+299+320p. ¥650+650+670+670(文春文庫)
“小説の記述から、戦後ジャーナリズム文化の一端をのぞきつつ、スクープ、特オチを考えるジャーナリストの心理、取材源との関係を考えてみましょう。また、山崎豊子は映画化・ドラマ化されることが多い作家ですが、元記者の「フィクション・ドキュメンタリー」という手法とその意義を考えつつ、ドラマ・映画と原作との関係を考えてください。ジャーナリズムとエンターテイメントというメディア・コミュニケーションの両面について考えてみてください。” 【メディアコミュニケーション学科の推薦図書リスト(2010年度)】
●雫井脩介 『犯人に告ぐ(上・下)』
  双葉社, 2007.9. 326+344p. 上・¥600+税、下・¥619+税(双葉文庫)
“連続殺人事件を追う刑事が、テレビを通じて犯人に呼びかけるという前代未聞の「劇場型」捜査に取り組むというミステリー小説です。つい最近、映画化もされました。現代社会におけるマス・メディアの影響力について深く考えさせられます。とくにテレビ業界志望の学生におすすめです。” 【メディアコミュニケーション学科の推薦図書リスト(2008年度)】
●横山秀夫 『クライマーズ・ハイ』
  文藝春秋, 2006.6. 471p. ¥629+税(文春文庫)
“1985年に起こった日航機墜落事故を題材に、地元新聞社に勤める記者の奮闘ぶりを描いたフィクションです。ドラマ化もされました。小説として読み応えがあるだけでなく、ジャーナリストが直面する葛藤や苦悩を緊張感たっぷりに描いています。ジャーナリスト志望の学生は必読です。” 【メディアコミュニケーション学科の推薦図書リスト(2007年度)】
●石田衣良 『うつくしい子ども』
  文藝春秋, 2001.12. 285p. ¥530(文春文庫)
“中学1年生の少年が9歳の女児を猟奇的に殺害した。この事件をめぐり、少年の兄と新聞記者の2人の観点から物語は進行します。マスコミ志望の皆さんは、もちろん、記者の立場でこの小説を読んで下さい。人権への配慮か? 報道の使命か? 迷いながら事件の取材にあたります。自分の将来が見えてくるかもしれません。” 【メディアコミュニケーション学科の推薦図書リスト(2009年度)】

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6. 読む本に迷ったときのお薦め

*2023年夏のお薦め

 何を読んでよいかわからない人のためにお薦めのリストです。 2023年夏または2022年夏のお薦めから1冊以上読むことを推奨します。(昨年度以前のお薦めも参考にすること。)

★大久保遼 『これからのメディア論』
  有斐閣, 2023.1. 358p. ¥2300+税(y-knot)
社会学者が大学生のために書いたメディア論の入門書。写真、映画、ストリーミング、音楽など、メディアごとに具体例を挙げて、社会におけるメディア環境の変容を論じている。 2023年刊行なので、新しい事例も多い。 関連する動画へのリンク集をウェブサポートとして公開している(本書のウェブサポートはここをクリック)。
★中山淳雄 『エンタメビジネス全史:「IP先進国日本」の誕生と構造』
  日経BP,2023.3.301p. ¥1800+税
この1冊で、エンタメビジネスの全体像を見通すことができる。興行、映画、音楽、出版、マンガ、テレビ、アニメ、ゲーム、スポーツの9つの領域に分けて解説。
★西垣 通 『超デジタル世界:DX、メタバースのゆくえ』
  岩波書店, 2023.1. 193p. ¥840(岩波新書)
情報学のさまざまな知見を用いて、デジタル・ネットワーク社会に普遍的な課題を一般読者向けに解説している。「情報学基礎論B」で学ぶ内容が含まれていて、それに基づいてAIやコンピュータが論じられている。
★小林雅一 『生成AI:「ChatGPT」を支える技術はどのようにビジネスを変え、人間の創造性を揺るがすのか?』
  ダイヤモンド社, 2023.7. 359p. ¥1980(税込)
生成AIの出現とその技術基盤、実用化に伴うフェイクの氾濫などについて、具体的な事例を取り上げて丁寧に解説している。著者は「生成AIは史上最速にして最大の革命を人類にもたらす」と確信している。
★清水亮 『教養としての生成AI』
  幻冬舎,2023.7. 248p. ¥1034(税込)(幻冬舎新書)
生成AIの原理、応用事例の紹介、今後の発展の動向を解説。AIの仕組みについての解説は、噛み砕いていてわかりやすい。
★氷川竜介 『日本アニメの革新:歴史の転換点となった変化の構造分析』
  KADOKAWA,2023.3.258p.¥960+税(角川新書)
日本のアニメはなぜ世界的に評価されているのかを、日本アニメの歴史から解説。画期点となった作品(ヤマト、ガンダム、ジブリ作品、AKIRAなど)は何が優れていたのかを知ることで、アニメの現在と未来を展望することができる。

*2022年夏のお薦め

★稲増一憲 『マスメディアとは何か:「影響力」の正体』
  中央公論新社, 2022.7. 288p. ¥968(中公新書)
社会にとって、マスメディアはどのような存在なのか、マスメディアに世論を動かすほどの影響力があるのか。マスコミ研究の百年にわたる研究成果を初期から現在まで展望し、マスメディアの特徴、可能性を実証的なデータに基づいて解説している。
★笹原和俊 『フェイクニュースを科学する:拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ』
  化学同人, 2021.7. 206p. ¥990(DOJIN文庫)
人間はなぜフェイクニュースを信じてしまうのか、フェイクニュースはどのような環境で拡散しやすいのか、心理学的な事実やネットワークの特性から解明したベストセラー。文庫版、デスマス体で読みやすいが、歯ごたえのある内容。
★稲田豊史 『映画を早送りで観る人たち:ファスト映画・ネタバレ−コンテンツ消費の現在形』
  光文社, 2022.4. 304p. ¥990(光文社新書)
メディア環境の変化により、特に若い世代で情報利用行動や価値観が変化してる実態を分析している。
★岡嶋裕史 『メタバースとは何か:ネット上の「もう一つの世界」』
  光文社,2022.1. p.246. ¥902(光文社新書)
メタバースのエンタメ的側面に関心のある人向き。メタバースの概要やエンタメの観点からの魅力、GAFAがどのように取り組んでいるかといった点について、要領よくまとめられている。
★NHKミャンマープロジェクト 『NHKスペシャル取材班、「デジタルハンター」になる』
  講談社, 2022.6. 256p. ¥1034 (講談社現代新書)
コロナ禍で海外取材ができない状況の中、NHK取材班がOSINT(オシント)の技法を駆使してミャンマーの軍事政権の犯罪を解明。OSINT(オープンソース・インテリジェンス)の有効性とその習得プロセスを紹介している。NHKはこの活動で、2021年度新聞協会賞を受賞。
★安野貴博 『サーキット・スイッチャー』
  早川書房, 2022.1. 285p. ¥1870
第9回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作。自動運転車が実用化した2029年を舞台としたSF、ミステリー小説。ストーリーのけん引力が強くて面白く、かつ人工知能の倫理的な課題をスリリングに描いている。

*2021年夏のお薦め

★伊藤亜聖 『デジタル化する新興国:先進国を超えるか、監視社会の到来か』
  中央公論新社, 2020.10. 245p. ¥902 (中公新書)
デジタル技術の進化は、中国、インド、東南アジアやアフリカ諸国など、新興国・途上国を劇的に変え、過去を引きずっている先進国に追いつき、部分的には追い越している側面すらある。世界の流れに遅れをとっている日本の位置を把握するためにも有用な一冊。
★山口真一 『正義を振りかざす「極端な人」の正体』
  光文社, 2020.9. 214p. ¥760(光文社新書)
SNSでの誹謗中傷、不謹慎狩り、自粛警察、悪質クレーマーなどが社会問題となっている。筆者は大量のデータ分析から「炎上加担者はごく少数」、「SNSは世論を反映しない」などの実態を明らかにしている。
★アンデシュ・ハンセン 『スマホ脳』
  新潮社, 2020.11. 256p. ¥1078(新潮新書)
スウェーデンの精神科医が執筆した世界的なベストセラー。 最新の脳科学研究に基づき、スマホを身近に置いておくだけで学習効果、記憶力、集中力は低下する、1日2時間を超えるスクリーンタイムはうつのリスクを高めるなどの事実を明らかにしている。
★橋爪大三郎 『ふしぎな社会学』
  筑摩書房, 2021.3. 221p. ¥800+税(ちくま文庫)
社会学の基本的な概念16項目を中高生向けに平易に解説しており、気軽に読める。大学生にとっても、社会学の研究範囲が展望できる。言語、戦争、憲法、貨幣、資本主義、私有財産、性、家族、結婚、正義、自由、死、宗教、職業、奴隷制とカースト、幸福。
★平野啓一郎 『本心』
  講談社, 2021.5. 449p. ¥1800+税
芥川賞作家が描く近未来小説。格差社会がいっそう進み、自由死が合法化された日本。ヴァーチャル・フィギュア、リアル・アバター、アバター・デザイナー、ドローンによるテロなど、5年後には現実になっていそうな未来がリアルに描かれている。
★カズオ・イシグロ(土屋政雄訳) 『クララとお日さま』
  早川書房, 2019.7. 447p. ¥2750
2017年にノーベル文学賞を受賞した長崎出身、在英の作家のベストセラー小説。病弱の少女と友達として少女を世話するAIロボットの物語。感情を持つAI、機械と人間の関係、階級社会、社会格差、環境問題など、現代性の強いトピックが織り込まれている。

*2020年夏のお薦め

★田中辰雄,浜屋敏 『ネットは社会を分断しない』
  KADOKAWA, 2019.10. 240p. ¥946(角川新書)
★ハンス・ロスリング他(上杉周作・関美和訳)『ファクトフルネス:10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』
  日経BP社, 2019.1. 397p. ¥1800
★森川博之 『5G:次世代移動通信規格の可能性』
  岩波書店,2020.4.249p.860円+税(岩波新書)
★尾原和啓 『ネットビジネス進化論:何が「成功」をもたらすのか』
  NHK出版,2020.6.416p. 2200円+税
★瀬地山角 『炎上CMでよみとくジェンダー論』
  光文社, 2020.5. 263p. ¥820+税(光文社新書)
★宮台真司,永田夏来,かがりはるき 『音楽が聴けなくなる日』
  集英社, 2020.5. 215p. ¥820+税(集英社新書)
★平野啓一郎 『ドーン』
  講談社, 2012.5. 653p. ¥876+税(講談社文庫)
★今井芳昭 『影響力:その効果と威力』
  光文社, 2010.4. 278p. ¥820(光文社新書)

*2019年夏のお薦め
 何を読んでよいかわからない人のために、2019年夏のお薦めです。それぞれの解説は、上のリストで探してお読みください。 【2019年度の「千頁読破」は、2018年夏と2019年夏のお薦めから1冊以上読むことも課題とする。】(昨年度以前のお薦めも参考にすること。)

★NHK取材班 『暴走するネット広告:1兆8000億円市場の落とし穴』
  NHK出版,2019.6. 210p. 800円+税(NHK出版新書)
★NHKスペシャル取材班 『米中ハイテク覇権のゆくえ』
  NHK出版,2019.6. 210p. 800円+税(NHK出版新書)
★梶谷懐・高口康太 『幸福な監視国家・中国』 ←追加
  NHK出版, 2019.8. 254p. 850円+税(NHK出版新書)
★川本裕司 『テレビが映しだした平成という時代』
  ディスカヴァー・トゥエンティワン, 2019.2. 239p. ¥1100+税(ディスカヴァー携書)
★岡田斗司夫 『ユーチューバーが消滅する未来:2028年の世界を見抜く』
  PHP研究所, 2018.11. 213p. ¥950(PHP新書)

*2018年夏のお薦め

*2018年夏のお薦めは以下の8点でした。今年もお薦めです。

★田中潤・松本健太郎 『誤解だらけの人工知能:ディープラーニングの限界と可能性』
  光文社,2018.2. 258p. ¥778(光文社新書)
2018.9.26.追加
★大原通郎 『テレビ最終戦争:世界のメディア界で何が起こっているか』
  朝日新聞出版, 2018.7. 235p. ¥810(朝日新書)
2018.8.10.追加
★福田直子 『デジタル・ポピュリズム:操作される世論と民主主義』
  集英社, 2018.5. 220p. ¥740(集英社新書)
2018.8.10.追加
★新井紀子 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』
 東洋経済新報社,2018.2. 287p. ¥1500
★山本龍彦 『おそろしいビッグデータ:超類型化AI社会のリスク』>
  朝日新聞出版,2017.11. 198p. ¥778(朝日新書)
★林香里 『メディア不信』
  岩波書店, 2017.11. 237p. ¥840+税 (岩波新書)
★荻上チキ 『すべての新聞は「偏って」いる:ホンネと数字のメディア論』
  扶桑社, 2017.12. 263p. ¥1300
★見田宗介 『現代社会はどこに向かうか:高原の見晴らしを切り開くこと』
  岩波書店, 2018.6. 162p. ¥760(岩波新書)

*2017年夏のお薦めは以下の9点でした。まだまだ読む価値があります。

★小林雅一 『AIが人間を殺す日:車、医療、兵器に組み込まれる人工知能の衝撃』
  集英社,2017.7. 240p. ¥821(集英社新書)
★烏賀陽弘道 『フェイクニュースの見分け方』
  新潮社, 2017.6. 255p. ¥800+税 (新潮新書)
★河合雅司 『未来の年表:人口減少日本でこれから起きること』
  講談社, 2017.6. 208p. ¥821 (講談社現代新書)
★藤代裕之 『ネットメディア覇権戦争:偽ニュースはなぜ生まれたか』
  光文社,2017.1. 287p. ¥800+税 (光文社新書)
★野口悠紀雄 『知の進化論:百科全書・グーグル・人工知能』
  朝日新聞社,2016.11. 252p. ¥780+税 (朝日新書)
★松尾 豊 『人工知能は人間を超えるか : ディープラーニングの先にあるもの』
  KADOKAWA,2015.3. 263p. ¥1400(角川EPUB選書)
★森 達也 『たったひとつの「真実」なんてない:メディアは何を伝えているのか?』
  筑摩書房, 2014.11. 201p. ¥820+税(ちくまプリマー新書)
★デイヴ・エガーズ(吉田恭子訳) 『ザ・サークル』
  早川書房, 2014.12. 526p. ¥2376
★野アまど 『know』
  早川書房, 2013.7. 354p. ¥720+税 (ハヤカワ文庫)

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*2016年夏のお薦めは以下の6冊でした。まだまだ読む価値があります。

★森 達也 『たったひとつの「真実」なんてない:メディアは何を伝えているのか?』←8.11追加
  筑摩書房, 2014.11. 201p. ¥820+税(ちくまプリマー新書)
★スマイリーキクチ 『突然、僕は殺人犯にされた:ネット中傷被害を受けた10年間』←8.11追加
  竹書房, 2014.4. 350p. ¥700+税(竹書房文庫)
★ケヴィン・ケイリー(服部桂訳)『〈インターネット〉の次に来るもの:未来を決める12の法則』
  NHK出版,2016.7. 408p. ¥2000+税
★イーライ・パリサー(井口耕二訳) 『フィルターバブル:インターネットが隠していること』
  早川書房, 2016.3. 374p. ¥972(ハヤカワ文庫NF)
★児玉哲彦 『人工知能は私たちを滅ぼすのか:計算機が神になる100年の物語』
  ダイヤモンド社,2016.3. 327p. ¥1600
★佐藤卓己ほか編 『デジタル情報社会の未来』
  岩波書店, 2016.6. 304p. ¥2039(岩波講座 現代)

*2015年夏のお薦めは以下の6冊でした。まだまだ読む価値があります。

★岩本茂樹 『自分を知るための社会学入門』
  中央公論社, 2015.4. 230p. ¥1500+税
★小林雅一 『AIの衝撃』
  講談社,2015.3. 247p. ¥800(講談社現代新書)
★東 浩紀 『弱いつながり:検索ワードを探す旅』
  幻冬舎, 2014.7. 164p. ¥1300
★佐々木俊尚『レイヤー化する世界:テクノロジーとの共犯関係が始まる』
  NHK出版,2013.6. 278p. ¥720+税 (NHK出版新書)
★公文俊平 『情報社会のいま:あたらしい智民たちへ』
  NTT出版, 2011.5. 216p. ¥2400
★日本図書館情報学会研究委員会編 『電子書籍と電子ジャーナル』
  勉誠出版,2014.11. 265p. ¥1800+税 (わかる!図書館情報学シリーズ)

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*2013年夏のお薦めは以下の6冊でした。まだまだ読む価値があります。

★鈴木謙介 『ウェブ社会のゆくえ:〈多孔化〉した現実のなかで』
  日本放送出版協会, 2013.8. 251p. ¥1000(NHKブックス)
★佐々木俊尚『レイヤー化する世界:テクノロジーとの共犯関係が始まる』
  NHK出版,2013.6. 278p. ¥720+税 (NHK出版新書)
★木村忠正『デジタルネイティブの時代:なぜメールをせずに「つぶやく」のか』
  平凡社,2012.11. 255p. ¥800+税 (平凡社新書)
★西垣 通『集合知とは何か:ネット時代の「知」のゆくえ』
  中央公論新社,2013.2. 220p. ¥820+税 (中公新書)
★影浦 峡『信頼の条件:原発事故をめぐることば』
  岩波書店,2013.4. 98p. ¥1200+税 (岩波科学ライブラリー)
★上杉 隆『新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか』
  PHP研究所,2012.2. 199p. ¥720+税 (PHPビジネス新書)

*2012年夏のお薦めは以下の4冊でした。まだまだ読む価値があります。

★橋元良明 『メディアと日本人:変わりゆく日常』
  岩波書店, 2011.3. 195+12p. ¥760+税(岩波新書)
★津田大介 『情報の呼吸法』
  朝日出版社, 2012.1. 165p. ¥940
★大向一輝・池谷瑠絵 『ウェブらしさを考える本:つながり社会のゆくえ』
  丸善, 2012.3. 190p. ¥760
★東 浩紀 『一般意志2.0:ルソー、フロイト、グーグル』
  講談社, 2011.11. 262p. ¥1800

*2011年夏のお薦めは以下の6冊でした。まだまだ読む価値があります。

★橋元良明 『メディアと日本人:変わりゆく日常』
  岩波書店, 2011.3. 195+12p. ¥760+税(岩波新書)
★橋元良明・電通総研 『ネオ・デジタルネイティブの誕生:日本独自の進化を遂げるネット世代』
  ダイヤモンド社, 2010.3. 189p.
¥1500
★岡嶋裕史 『ポスト・モバイル:ITとヒトの未来図』<
  新潮社, 2010.7. 187p. ¥680 (新潮新書)
★石田英敬 『自分と未来のつくり方:情報産業社会を生きる』
  岩波書店, 2010.6. 194p. ¥780(岩波ジュニア新書)
★影浦 峡 『3.11後の放射能「安全」報道を読み解く:社会情報リテラシー実践講座』
  現代企画室,2011.7. 193p. ¥1050

*2009年夏のお薦めは以下の6冊でした。いまでも読む価値があります。

★佐々木俊尚 『2011年新聞・テレビ消滅』
  文藝春秋,2009.7. 237p. ¥788(文春新書)
★荻上チキ 『ネットいじめ:ウェブ社会と終わりなき「キャラ戦争」』
  PHP研究所, 2008.7. 269p. ¥740+税(PHP新書)
★竹内一正 『グーグルが日本を破壊する』
  PHP研究所, 2008.4. 222p. ¥756(PHP新書)
★西垣 通 『ウェブ社会をどう生きるか』
  岩波書店, 2007.5. 182p. ¥700(岩波新書)
★濱野智史 『アーキテクチャの生態系:情報環境はいかに設計されてきた』
  NTT出版,2008.10. 351p. ¥1900

*2008年夏のお薦めは以下の6冊でした。
 初めの3冊は、合わせ読みをすると理解が深まります。

★竹内一正 『グーグルが日本を破壊する』
  PHP研究所, 2008.4. 222p. ¥756(PHP新書)
★ジャン=ノエル・ジャンヌネー(佐々木勉訳) 『Googleとの闘い:文化の多様性を守るために』
  岩波書店,2007.11. 166p. ¥1600
★佐々木俊尚 『ネット未来地図:ポスト・グーグル時代 20の論点』
  講談社, 2007.10, 224p. ¥767(講談社現代新書)
★荻上チキ 『ウェブ炎上:ネット群集の暴走と可能性』
  筑摩書房, 2007.10. 221p. ¥700(ちくま新書)
★境 真良 『テレビ進化論』
  講談社,2008.4. 221p. ¥756(講談社現代新書)
★西垣 通 『ウェブ社会をどう生きるか』
  岩波書店, 2007.5. 182p. ¥700(岩波新書)

*2007年夏のお薦めは以下の5冊の新書版シリーズでした。
 初めの4冊は、合わせ読みをすると理解が深まります。

★西垣 通 『ウェブ社会をどう生きるか』
  岩波書店, 2007.5. 182p. ¥700(岩波新書)
★西垣 通 『IT革命:ネット社会のゆくえ』
  岩波書店, 2001.5. 189p. ¥700(岩波新書)
★梅田望夫 『ウェブ進化論:本当の大変化はこれから始まる』
  筑摩書房,2006.2. 249p. ¥740(ちくま新書)
★梅田望夫・平野啓一郎 『ウェブ人間論』
  新潮社,2006.2. 203p. ¥680(新潮社新書)
★歌田明弘 『ネットはテレビをどう呑みこむのか?』
  アスキー,2007.6. 250p. ¥724(アスキー新書)

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本の選び方・探し方

*情報化社会、ウェブ社会、情報サービスなどの主題領域は、技術的な進展、情勢の変化が激しいので、 刊行年の古いものは避けた方が無難です。 一方、社会学、情報学、メディアコミュニケーション学の理論的な著作、学術的な論文であれば 内容はすぐには古びませんし、古典的な名著は古くても読む価値があります。

*本の選び方・探し方はいくらでもありますが、いくつか例をあげます。

  1. 定評のある「出版社シリーズ」にターゲットを絞り、面白そうなものがないか探す。
    とりわけ新書判のシリーズ(「〜新書」)がお薦め
    例:「千頁読破」でお薦めの出版社シリーズ。
    • 岩波新書、岩波ジュニア新書、岩波現代文庫
    • ちくま新書、ちくまプリマー新書、ちくま学芸文庫
    • 中公新書、中公新書ラクレ
    • 講談社現代新書、講談社選書メチエ、講談社学術文庫
    • 文春新書
    • 平凡社新書
    • NHKブックス
    • 青弓社ライブラリー(←社会学系のシリーズ。専門的な学術書扱いにします。)
    • ・・・
    *参考:
    新書マップ
  2. 大規模な書店へ行き、書棚を時間をかけてじっくり探す(ブラウジング)。
    例:東京にある売場面積1000坪以上の規模の大書店 参考:「本の街」神田神保町
    白山から3つめの駅。
    三省堂、東京堂、書泉グランデ、書泉ブックマートが4大新刊書店。
    170を超える古書店が集まっている。

  3. オンライン書店の検索サービスでキーワード検索する。
    売れ行きランキングや読者レビューも参考にする。
    例:よく知られたオンライン書店 参考:オンライン書店比較サイト
  4. 大規模図書館のOPACや大規模な書誌データベースでキーワード検索する。
    例:代表的な大規模書誌データベース
  5. 身近な図書館へ行って、書棚を時間をかけて眺める(ブラウジング)。
    例:身近な図書館 参考:その他の図書館
  6. 新聞や雑誌の書評欄、ネットの書評サイトを定期的にチェックする。
    例:読売新聞・朝日新聞の書評欄は日曜日掲載

  7. 新聞や雑誌に掲載されている出版社の広告をチェックする。
    例:朝刊1面下の「三八つ(さんやつ)広告」

  8. 友人・知人、家族、教師に紹介してもらう。

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参考 : 新書マップ

「新書マップ」は、 新書判のシリーズを探すときに便利な検索サイトです。キーワード検索ができます。 また、「書棚で見るテーマ一覧」は 32のテーマに分かれていますので、興味のあるテーマを選んでブラウジングしてみましょう。 例えば、以下のようなテーマがあります。

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